左背外側前頭前野の機能低下と扁桃体の過活動を、ストレス相関から観る
今年の徒手医学会(10.11~12)で、吉田たかよし先生(本郷赤門前クリニック院長)が「ストレスに負けない脳のマネジメント」と題して特別講演を行った。
吉田先生はNHKのアナウンサーの経歴を持つだけに、とても巧みな話術である。
心をどのようにコントロールしたら、人生でぶつかる問題に対処していけるか、そんな具体例を楽しく紹介していただいた。

ストレスは姿勢に現れること。
笑顔は、作り笑いでは不自然であること。
「微笑みうつ病」が増加していて、ポジティブ思考には落とし穴があるという。
心配事があると、外では無理して明るく振る舞うようになり、家庭ではふさぎ込む。
作り笑いにも、そんな無理が現れる。
フランスの神経内科医・ディシュンヌは、本来の笑顔を作ることで脳への表情フィードバック効果が現れる、と説いた。
大頬骨筋と外側眼輪筋を収縮させる笑顔を作ることで、これを「ディシュンヌ・スマイル」という。
頬の筋肉と目尻の筋肉が収縮して、心からの笑い顔になる。
その表情筋が脳にフィードバックされて心が前向きになる。
これなどは最も簡単に実践できるストレス対応かもしれない。

PET(光ポトグラフィ検査)で、脳の血流量を可視化すると前頭野の賦活系に特徴があることがわかってきた。右前頭野が優位になっていて、左背外側前頭前野(DLPFC)が機能低下し、扁桃体が過剰活動しているという機能的特徴が明らかにされている。
吉田先生のクリニックでは、左背外側前頭前野に磁気刺激治療(TMS)で刺激することで、うつ病などにも抗うつ薬を処方することなく治療効果を上げていることを紹介された。

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(「新宿メンタルクリニック」案内パンフレットより転載)

私も、ストレスを抱えた患者さんや、DLPFCと思われる部位に局所的な緊張を抱えた患者さんには、DLPFCと扁桃体との相互機能バランスを調整する手法を試みている。
それで、吉田先生の講演は納得しながら聴くことができた。

症例から:
例えば最近では、こんな患者さんがみえた。
中年の女性である。首、肩こり、腰痛、目の疲れなど全身的な不定愁訴を訴えていた。
特に肩こりがつらく、眉間部分には違和感があるらしい。
右後頭下部に過緊張がある。そこから身体フローの停滞を観ると、左股関節で停まる。
左大転子から骨頭にむけてスピンタッチ(CW)を行うと、後頭下部が8割ほど緩んだ。
再び追試すると、左腓骨の外顆で止まっている。
腓骨のリリースで後頭下部がイーブンになる。
まだ右側頭部に下方での停滞がある。
そこから流れを辿ると、胆嚢から盲部まで停滞軸がある。
乳製品にも反応する。シュークリームをだいぶ食べたという。乳製品、脂質成分を控えてもらうことにした。
それでも、左背外側前頭前野部に停滞感が強い。
左眼球は左側方と左上外側の2方向で停滞がある。
左背外側前頭前野から停滞方向に向けてスピンタッチ(CW)してフロー状態をつくる。
そここから扁桃体部との干渉させるスピンタッチを行った。
すると身体フロー状態ができて、いい感触になった。

DLPFCにおける機能の問題は反応の回路をリセットされないと、繰り返しに再現される。
何らかのストレス絡みではないだろうか、と尋ねてみた。
彼女は、実母を見送ったばかりでまだ心の整理ができていないこと、仕事上の問題で頭から離れないことがあること、などなどを語ってくれた。

そこで閉眼してストレスに関わっている事案をリアルにイメージさせる。
すると、再びDLPFCに停滞が出現する。
眼球も同様の方向に再び現れた。

そこで、ストレス事案をイメージさせて、眼球を左外側にホールドして、左肩関節へリコイル刺激を6回ほど入力した。
このメソッドは、小脳を介して眼球運動方向の停滞をリリースし、DLPFCへのフィードバックを促すことを狙っている。
これでストレス事案をイメージさせても、DLPFCは安定した状態を維持できるようになるまで続けるのだが、この患者さんは2回でリリースされた。
2つ目のストレス事案には反応しなかった。

こうしたDLPFCの機能を刺激することで扁桃体の過活動を抑えて、ストレスにも対応できるようになっていった。症状も好転した。

DLPFC部に停滞を観たら、扁桃体、ストレス関連を併せて治療することで、いい結果が期待できるように感じている。
徒手医学会での吉田先生のご講演に、治療の裏づけとすべき示唆を得た思いだった。
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by m_chiro | 2015-11-02 10:41 | 症例 | Trackback | Comments(0)
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