腰が痛くて動けない…!、実は感染症だった
50代の主婦が、御主人の肩にもたれて、やっとのことで来院した。
2週間以上も前から腰に違和感を感じていたが、5日ほど前から悪化していった。 私のところに予約の電話を入れたが、学会に出席していて臨時休診だった。 我慢できずに整体治療院でみてもらったそうだ。 ところが状態は悪化するばかりで、ついには朝起きあがるのに20分もかかる羽目になった。 起きあがると、身体が歪んで真っ直ぐに立てない、歩けない。 寝てるほかないが、それでも痛い、つらい。 そんな状態で、休日開けに治療にみえたのだった。 とりあえず治療ベッドに寝てもらって、聞き取りを行った。 腰痛で思い当たる原因らしきものもない、と言う。 身体をみたが、どう観ても腰に問題があるようには思えない。 一番気になったのは胸廓が捻れて固着していることぐらいだった。 相対的に腹腔と腰部のトーンが低下している。 風邪でもひいた? 「風邪はずっと治りきっていない感じで、治りかけると、また孫からうつされる。だから、ずっと風邪気味状態」なのだそうだ。 咳も熱もなく、鼻かぜのような状態だという。 熱は何度くらい? 「37度切れるくらいだと思う」 風邪が長引いて、身体全体が弱っているんじゃないの。 腰痛は、きっとそんな体の表現なのだろう。腰に問題があるとは思えない...。 「でも腰が痛くて動けないのに……」、と不満そうだ。 Dr.Langの自己免疫疾患療法(L.A.S.T.)で用いる検査用液の寄生ウイルス類に、筋のトーンが抑制的に反応する[混合パラサイツ(+)、7ウイルス(+)、エプスタインバール(+)、ヘルペスⅡ(+)] その過敏性を解消して、胸郭をリリースし腹腔部との緊張度のバランスを調整した。 加えて、前後/水平/回旋軸における軸停滞を下腿からリリースした。 これで様子を見ることに…。 翌々日に、朝一番でみえた。 今度は、一人で歩けるが、杖をついて治療室に入ってきた。 どうしたの? 「腰は楽になってきたけど、今度は機能の夜に下腹部が痛んで、朝には左の膝が腫れて歩けなくなった。杖をつかないと歩けない。何をしたわけではないのに…」 確かに膝が腫れている。 あなたの平熱はどれくらいあるの? 「35度5分前後かな…」 それじゃ37度以下でも、あなたにとっては熱があるってことじゃないの! 迂闊なことに、患者さんの申告をそのまま受け入れてしまった。 ここではじめて体温を計った。37度3分ある。感染症だろう。 このまま病院での検査をリクエストした。 翌々日、検査結果表を持参して、また治療にみえた。 白血球↑、赤血球↓、CRP↑、尿検査でも細菌混濁がある。 抗生剤を処方されて、「随分と楽になった」ようだ。 膝の腫れはまだあるが、ひとりで歩けるようになっている。 「あの腰の痛みは何だったんだろうと思うほどに、腰の痛みはなくなった。これからは風邪を侮らないようにします。あまり辛くて、このまま死ぬんじゃないかと思いました」。 「かぜ症候群」は「鼻かぜ」に重点が置かれているとされているようだが、今回の患者さんもいわゆる風邪症状は潜伏的に推移した。 ところが身体内部では細菌が繁殖していき、ついには筋や関節もターゲットにしたのだろう。 もっと早い機会に治療にみえていたら、早くに身体を立て直すことができただろうに、と思う。 重篤な疾患ではなくて、先ずはホッとした症例だった。
by m_chiro
| 2015-10-26 10:31
| 症例
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