「関節のメッセージを聴け!」を読んで、バラルの身体観・治療観に触れる
c0113928_1026716.jpg科学新聞社発刊のJ.P.・バラルD.O.の新刊本「関節のメッセージを聴け」を読んだ。

バラルの本が面白くないはずはないし、期待を裏切るはずもない。

今回の新刊本は一般人の読者を意識して書かれたようだが、治療家にこそ読んでほしいと思う。

バラルの治療観がとても分かりやすく語られていて、多くの示唆に富んだ内容になっている。
前作「体からのシグナル」に続く、姉妹編のような位置にある本だ。

オステオパシーの概念には、独自の用語や生命観・身体観があり、馴染のない者にとっては難解なところがあるかもしれない。

難しい専門書に向き合うとき、私は二段階の読書法をすることがある。
まずは平易に書かれた本に学ぶ。
そこで考え方や理論を概略理解した上で、専門書に取り組む。
あるいは専門書から逆に反芻しながら全体を理解するように読み込んでみる。

だから、専門教本が多いバラルの著作の中で、こうした平易に解説した本はとても有難い存在なのである。

この本では、関節を単に運動器の一部として捉えてはいない。
関節は心身の問題と深くかかわる存在だ、とバレルは説いている。
関節障害は心身問題を抜きにしては語れないし、それは双方向性に関わっているという。

そうかと言って、すべてを心理的要因と決めつけるのは、あまりにも安易すぎる。
その罠に嵌らないように、と戒めることも忘れていない。

あらゆる関節障害を実症例から解説し、そこに想定し得る関連性を多角的視点から論じている。
人の機能のプログラムに介入する要因には、身体内外の環境因子が深くかかわっている。
こうした視点や思いがけない関連性に学ぶことは、私たちの観察の幅を広げてくれることだろう。

また経験に基づいて、それらに効果的で具体的なアドバイスやエクササイズも紹介している。これも参考になる。

この本から、「治療は、やみくもに行うものではない」という一貫した治療家の姿勢を、読者は汲み取ることだろう。

治療家の素質とは、心身からのメッセージを謙虚に受け取り、それを熟慮する姿勢にあるのだという。
まさに、患者の心身に向かって「傾聴すること」から治療が始まるのだ。
そして、人間の謎に挑み続けようとする飽くなき探求心こそが、治療家の矜持を保つ志だと教えられた。

翻訳文も洗練されていて、訳書にありがちな読みにくさを感じることもなかった。
おかげで、バレルの治療哲学にすんなりと入り込むことができた。
これも読み手にとっては有難いことだった。
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by m_chiro | 2015-09-24 10:34 | Books | Trackback | Comments(0)
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