「痛み学」NOTE 72. 痛みが自己持続性に起こるわけ
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。


72. 痛みが自己持続性に起こるわけ

痛みの自己持続性に関わる可能な要因を考えた時に、第一に思い浮かぶのは「交感神経」の活動である。
痛みは交感神経の活動性を増す。
したがって筋の緊張性も増加する。

交感神経からの入力は、α運動ニューロンの興奮性を高めることになる。
あるいは細動脈の血流を阻害する。
虚血が起こる。
こうして痛みの悪循環が始動することになる。

筋の痙縮(spasm)による痛みは、筋収縮が持続性に起こった結果である。
後角への興奮性の入力が続いているのだろう。
もしも分節性の抑制あるいは脊髄より上位ニューロンからの抑制が減少している状態にあっても、やはり興奮性入力は続くことになる。

このことは、神経のみならず筋組織にも可塑的変化が起こる可能性を示唆するものである。
そこに、痛みは早急に除去しなければならない、とする理由がある。

痛みの循環経路図では、そのルートのどこからでも痛みを遮断することができる。
c0113928_1053022.jpg

では、もしも痛み症状が残されたままに置かれると、どうなるのか。
不完全に残された痛みは、再悪化、再激化する可能性を秘めている。
鎮痛が不完全なままであれば、交感神経の興奮も抑制されない状態で残る。
だから再び痙縮(spasm)が起こる火種となる。
痙縮などの筋の過緊張は、虚血の温床でもある。
中途半端に残された痛みによっても、交感神経の興奮が自分自身の中で続くことになるのだ。

痛みの自己持続性は、交感神経の興奮が続く限りトリガーにもなるということだろう。

痛みは、どんな手法であれ早急に完治させることを念頭に置いて対応すべきであるし、そのためには学際的な試みが必要なケースもあるのだ。
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by m_chiro | 2015-02-20 10:09 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(0)
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