「痛み学」NOTE 71.硬結にEMG活動は起こるか、起こらないか
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。


71. 硬結にEMG活動は起こるか、起こらないか

トリガーポイントなどにみられる索状硬結や拘縮(contracture)に、EMG活動が記録されることはない。
あっても拘縮部位から離れたところに限局している。
このことは、拘縮などが神経終板からの電位によるものではない証拠であろう。

ところが近年では、索状硬結でEMG活動を記録したという報告が出るようになった。
いったいどっちがホントなの、という話になる。

そこで、明治鍼灸大学.生理学教室で行った研究論文「実験的トリガーポイントモデルから記録された電気活動に対する検討」(全日本鍼灸学会雑誌。2002年、第52巻1号、24-31)を紹介しよう。

とても示唆的で興味深い情報を提供している。
この論文は、伸張性収縮運動負荷により生成したトリガーポイントおよびその同一筋上から、電気活動を記録したというのだ。
ところが、その電気活動はトリガーポイントの筋膜付近に限局したもので、筋の電気活動はその筋膜からの反射性の筋活動を捉えたものだと結論づけている。
c0113928_1733581.jpg

上の図は、その論文に掲載されたもので、皮膚と筋膜と筋肉における電気活動の記録である。
ただし、この電気活動は筋膜部分に電極を刺入したときに限定して記録されている。

トリガーポイントは、常にすべてが活性しているわけではない。
無症状の潜伏的なトリガーポイントが50%にも及ぶらしい。
この潜伏的トリガーポイントは、どのようにして活性するのだろうか。
(「痛み学」NOTE47. トリガーポイントはどのようにして作られるのか①~③に書いておいた)

臨床の現場でも、筋膜痛が痛みを伴う筋収縮、痙攣や攣縮(spasm、cramp)に関連していることを実感できる。
筋膜痛にはトリガーポイントが付き纏うことがあるということだろうが、筋膜痛そのものの病態生理についてはよく分かっていないのが実情かもしれない。

そこで、筋膜やトリガーポイントからの電気活動が反射性に筋肉の電気活動を起こす仕組みをみると、そこには2つの仮説がある。
ひとつは「脊髄反射説」で、他は「局所単収縮反応説」である。

「脊髄反射説」は「運動神経と神経終板」の神経活動が根底にあり、「局所単収縮反応説」は「筋の粘弾性特質」に依拠している。
あるいは、その統合説である。

いずれも休眠状態の拘縮や硬結が、何らかの身体内外の要因によって活性状態になるとする仮説であるが、その要因とは一体何だろう。
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by m_chiro | 2015-01-31 17:41 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(2)
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Commented at 2015-02-14 17:19 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by m_chiro at 2015-02-17 18:02
鍵コメ様、経験からの推論の卓説ありがとうございました。
その仕組み、とても興味深いですよね。経験から学ぼうとする姿勢にも脱帽です。これからも興味深い意見をお聞かせください。
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