「痛み学」NOTE 68.  慢性痛と「ゲイン・コントロール」①
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。


68.セロトニン系における「ゲイン・コントロール」

慢性痛症の背景に中枢性の痛覚過敏があるすれば、その機序はどのようなものだろう。

そのひとつとして「ゲイン・コントロール(gain controll)」という痛みの修飾作用の関与が提示されている。
「ゲイン(gain)]とは「利得」のことであるが、転じて電気信号回路における信号の増減のことをさす。信号のフィードバック制御が継続的に修正されることで、その状態に依存する調節が行われるのだ。

運動系では感覚情報のフィードバックとフィードフォワードを使って運動制御が行われている。
電気機器にも、こうした制御が使われていて、例えばセントラル・ヒーティングなどでは室温が設定されると、その温度を維持されるまで温度を上げるようなものだろう。
その状態(設定温度)に依存する調節作用が行われるのだ。

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さて、左の図は「痛み刺激の伝達経路」と「下行性疼痛抑制系」が示してある(「脳内物質のシステム神経生理学」有田秀穂著、15頁の図から一部転載)。

図で脊髄灰白質周縁に緑色で示された領域は、セロトニン終末の分布と対応している。

これによるとセロトニン(5-HT)受容体は、脊髄後角に限定されているわけではない。
かなり広い領域に受容体が分布している。

この下行性疼痛抑制系の起始核は中脳中心灰白質(PAG)であるが、帯状回、視床下部、偏桃体中心核、前頭葉などから皮質下のPAGに投射され、疼痛抑制系がスタートする。

その経路として、「セロトニン系」と「ノルアドレナリン系」の2経路が同定されているが(図にはセロトニン経路のみ記載)、それらはPAGからの直接投射はほとんどない。

延髄の大縫線核(B3:セロトニン系)と、橋の青斑核(A6:ノルアドレナリン系)に中継されて作動するのである。

                        (つづく)
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by m_chiro | 2014-10-18 08:57 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(0)
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