「痛み学」NOTE 64.  慢性痛における筋痛症問題の概念はややこしい❶
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。


❶ 筋痛症問題に切り込んだMPSの概念

本来、痛みは生理機能的に誘発されるものである。
ところが、その原因を構造・器質に求める時代が長く続いた。
痛みに対する構造的視点が核心的な認識となっていたころ、それを反証する概念のひとつとしてMPS(Myofascial Pain Syndrome:筋筋膜性疼痛症候群)が提示された(1952)。

筋筋膜痛そのものは、ヒポクラテスの時代から記録があるとされる古い疾患名である。
その筋筋膜に関連する障害や関連症状などの一連の症状も含めて、ひとつの症候群として一括りにしたのがMPSである。
筋痛症問題に先鞭をつけたのがMPSの概念ではないだろうか。

特徴的にはトリガーポイント(TrP)の存在が目安で、押圧・触診により他の部位に関連する痛みを誘発する。
当然ではあるが、診断の指標となる臨床検査値は見当たらない。
症状も一様ではなく、全身性に発症する。
MPSを面倒な存在にしているのは、TrP生成の機序がよく分かっていないことだ。
また、圧痛(TeP)が見つかっても必ず関連痛が起こるとは限らない。
TrPの潜在的な筋線維の兆候も想定されているが、その原因も明確ではない。

線維筋痛症(FM:Fibromyalgia:FMS)とも重複するところが多々あるようだが、FMSについては診断基準が発表された(1990)。
それでも釈然としないものがある。
MPSが一側性に発症する特徴があり、FMSは両側性にみられるという違いなどもあるようだが、MPSとFMSの線引きが明確になったようには思えない。
近年の研究は、脳実質(灰白質密度)やシナプスにおける可塑的変化などの調査が行われ、この疾患が痛覚過敏にとどまらない深刻な病態にあることが窺がわれるようになっている。

まだよく分かっていない部分が多くあるからだろうが、それでも徒手療法の臨床ではMPSの概念や手法は有用性も高く効果を上げているようだ。
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by m_chiro | 2014-09-30 08:32 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(0)
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