椎間板ヘルニアは、いつから痛みの中心的なドグマになったのか?
椎間板ヘルニアを痛みや根性痛の原因する解釈が定説となって、医療のみならず一般的にも常識的な認識になったのは何時頃からのことなのだろう。
そんな思いで過去の文献的記録を調べていると、20世紀初頭頃からのようだということが分かった。

椎間板ヘルニアを初めて文献的に記録したのは病理学者のウイルヒョーのようだ。
ウイルヒョウー(独)は著名な病理学者である。
なるほどと思うが、それはあくまでも「軟骨腫」としての病理所見の一例を自著の中で報告(1857)したものらしい。
だから症状と関連付けて報告されたものではない。

椎間板へルニアを症状と関連付けて提唱したのは、ボストンの内科医・ゴールドスゥエイト(Joel E. Goldthwait)とされている。
c0113928_2211238.jpgゴールドスゥエイトは、椎間板ヘルニアが腰痛や坐骨神経痛、そして下肢麻痺などを起こすと提唱した(1911)。
痛みと麻痺のどちらも発症するというのだが、その根拠は良く分からない。

ゴールドスゥエイトと言えば、カイロプラクターには馴染み深い。
ゴールドスゥエイト・テスト(Goldthwait’ Test)として知られる整形外科テスト法の開発者で、カイロプラクティックの検査法としても採用されることがあるからだ。
いわゆる硬膜外の障害であるか、硬膜内か、あるいは仙腸関節レベルか、椎間関節障害か、を鑑別する方法とされている。
SLRで下肢を挙上して行き、痛みが誘発される角度で鑑別する。
棘突起間に添えた指が、椎間関節の開く前か後かで障害部位を分けるとするものである。
私もよく使ったが、言われるほど確かなものとは思えない。
軟部組織が障害されていれば尚更である。

c0113928_2221924.jpgその後William Jason Mixterが、椎間板ヘルニアは変性した椎間板の突出であるとして19例の臨床病理所見を報告している。
そして髄節に応じた神経症状起こす、ということを確立したのである。






c0113928_2233721.jpg
こうして1937年ごろに硬膜外アプローチによって椎間板ヘルニアの髄核摘出手術が始まることになった。メイヨー・クリニックのJ Grafton Loveが初めとされる。
こうして椎間板ヘルニアの摘出手術は20世紀の初頭から普及していくことになる。





私の柔整学校時代、カイロプラクティック系統教育の学生時代は70年代後半~80年代であったが、椎間板ヘルニアは痛みの原因として定説だった。
この定説を反証する論文が出始めたのは1990年代に入ってからのことだったろう。
長い間、反証されることもなく椎間板ヘルニアは痛みとイコールにされてきたわけだ。

カイロプラクティックも、信念の基に治療が行われることが少なくない。
ともかく反証する精神が重要ではあるが、カイロプラクティックはそれ以前の段階で、まだまだ検証することが必要な領域でもある。
反証すべき概念すら確立がされていないということなのだ。
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by m_chiro | 2014-09-19 22:11 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
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