「しびれ」の現象と病態❶
「しびれ」という感覚はありふれている。
通常は長時間の正座の後によく経験するが、酷い時は立ち上がろうとして脚が儘ならず、転倒することもある。
そこまでいかなくても脚がしびれて感覚が鈍くなったり、くすぐったかったり、奇妙な感覚に襲われることは間々あることだ。
ほとんどの人が少なからず経験している感覚だろう。
「しびれ」も、痛み同様に自覚的に訴えられる感覚である。

臨床でも「しびれ感」を訴える患者さんに出会う。
しびれの表現にも個性があり、ジンジン、ビリビリ、チクチク、ピリピリなど擬音が使われる。
かと思えば、電気が走る、鈍い、皮が一枚被っている感じ、力が抜ける、餅がくっついているようだ、などと表現も多様である。

長時間の正座などで起こる「しびれ」現象は、容易に推測できる。
脚を折り曲げて体重負荷が加わることで筋肉に虚血が起こるのだ。
虚血が起こると、筋肉の筋紡錘からの感覚神経である有髄のⅠa線維や腱紡錘からのⅠb線維の伝導も一時的に混乱する。
だから脚の動きも思うに任せないことが起こる。

時代劇のドラマで見かけるシーンがある。
正座させた腿の上に石板を載せていく拷問によって、立ち上がれずに役人に両脇を抱えられて運ばれていく。あれでも神経が損傷することはなかったのだろうか。
それはともかく日常的に経験する「しびれ」は、通常は可逆的な感覚の異常である。

でも、神経疾患やその他の病態に付随して起こる「しびれ」もあり、わたくし達の臨床でも疾患による病態を除外する必要がある。
「神経麻痺」いも「痺れ(しびれ)」という言葉が入っているのだから、侮れない現象である。

疾患を除外するには、聴き取り(病歴聴取)によっても、ほぼ判断できるとされている。
なにしろ「病歴と身体診察で90%の診断が可能」(R.ステファニー・向原圭、松原理司など)と言われているくらいだ。
疑わしきは専門医に委ねることが必要だが、聴き取りと観察は怪しい病態を除外する上で最も確率の高いスキルとされている。

しびれの部位はどこで、どんな性状のしびれか。
そのしびれはどんな経過で起こり、どのような現れ方をするか。
なにか病歴に関わっていないか。
反復業務も含めて、トリガーとなった出来事や変化はなかったか。
あるいは「最近変わったことはなかったか」でもいいだろう。
また、薬物治療を受けている既往歴や疾患はあるか。
自律神経の変調に関する症状はないか。
ストレスを感じていることはないか。
不眠や食欲の低下などはないか。
など、簡単な聴き取りをしただけでも、除外すべき「しびれ」症状を見分ける目安になる。

つづく
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by m_chiro | 2014-07-25 16:39 | 症例 | Trackback | Comments(0)
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