老化で、筋痛はなぜ遅れてやってくる②
② 遅発性筋痛の生理学的要因

筋痛が起こりやすい運動は、特に伸張性収縮(エキセントリック・コントラクション)で生じやすいことがわかった。
例えば、階段を昇る運動よりも、降りるときの筋収縮。
あるいは物を持ち上げる動作よりも、挙げた物を降ろす動きで起こる筋収縮のことである。

でも、筋線維に痛覚線維はない。
それなのに、なぜ筋痛は起こるのだろう。
筋組織に痛覚線維があるのは筋膜組織である。

ネッター解剖図譜の筋構造の図をみると、一本の筋線維は束になって筋束を作り、その筋束がまた束になって一つの筋肉がつくられている。
c0113928_17305412.jpg


その筋肉は筋上膜で包まれ、筋束や一本の筋線維も内膜に覆われている。
この膜という結合組織に痛覚線維がある。
あるいは、その筋組織の筋腱接合部、そして細動脈の周囲に存在しているのである。

c0113928_17312533.jpg


さて、その筋線維には速筋と遅筋があり、その中間の筋も入れると3種類の筋線維があるとされている。
要するに速筋(FG線維)は、出力が高く短時間で無酸素性にATPがエネルギーをつくる白身の筋線維である。
遅筋(SO線維)は赤身で持久力があるが低出力の筋線維だ。
もうひとつの中間的な筋線維(FOG線維)は、遅筋と速筋の中間的な能力の線維である。

野球の投手でも、その筋線維の特徴で先発完投タイプとストッパータイプがある。
陸上競技でも、短距離走者、マラソン走者、中距離タイプの走者がいるようなものだ。
それも個々人のもつ筋線維の特徴に依存しているのだろう。

速筋(FG線維)は伸張性収縮で損傷しやすい筋線維とされる。
無酸素性だから早くに線維が硬くなり、元の柔軟性を回復しにくい線維である。
だから伸張性の筋収縮が長く続くと、遅筋が主導して活動するようになる。
硬く疲労した速筋(FG線維)は、持久力のある遅筋(SO線維)に無理強いされて活動するために線維自体に微損傷が起こりやすい状況が生まれることになる。

筋に損傷が起こると、修復のための炎症反応が起こる。
この炎症作用に関わるのが酵素やタンパク質で血中濃度に反映される。
炎症反応は浮腫をもたらして筋膜組織を機械的に刺激する。
筋膜組織の痛覚線維が痛み刺激として伝えることになる。
炎症と浮腫の活動については、以前の記事痛み学」NOTE 58. 炎症・腫脹にみる合目的活動のダイナミクス②」にまとめておいた。
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by m_chiro | 2014-04-11 17:34 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
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