「鼠蹊部の痛みで左肢が上がらない」運動部の女子選手
女子(高2)運動部選手が練習終了後に歩いていて、左股関節がカクッとなり「歩行で左肢が上がらない」と言ってみえた。
中学3年の時に、運動部の練習中に左大腿骨頭骨折で手術をした外傷既往歴がある。 20㎝ほどのケロイド状瘢痕が残っている。痛々しい傷跡である。 手術後の問題では?、と不安になり執刀医を受診したが、両側の骨頭部が黒くなっていると言われただけだった。でも手術後の問題は何もないのだそうだ。 結局、痛みの原因は不明ということで、鎮痛剤と湿布薬を処方された。 その上で、運動部を止めればいいのに....と示唆的なアドバイスがあったようだ。 母親の両肩に手を載せて、ムカデ競争のようにして治療室に入ってきた。 レントゲンで骨頭の変化は両側にあるが、右側は痛まない。 左側だけが痛い。これって直接的な関係はなさそう。 右側は手術していない。左は手術の大きな瘢痕がある。これは関係ありそうだが、今まで トレーニングをしてきたし、試合にも出場してきた。 カクッとなったのは、左側だけ。これは関係ありそう。 ぎっくり腰のようなもので、筋・筋膜の問題なのだろう。 SLRを行うと、左は45度くらいで左鼠蹊部に痛みが出てロックする。 内圧変動が鼠蹊部から臍方向にある。 鼠蹊部から傾聴を行うと、S状結腸間膜周辺に行きつく。 その傾聴についてはバレルD.O.の著書に詳細が述べられているが、内圧の変動や勾配を感じることができると尚よく理解できるだろう。 さて、そのS状結腸間膜を狙って3~4指を臍方向に差し込んでいくと緊張と圧痛がある。 ちなみに鼠蹊部には圧痛はない。 結腸間膜をリリースすると、SLRが80度くらいまで抵抗なく拳上できるようになった。 ところが、最終域で大転子の上方に痛みがでる。 痛みの部位が鼠蹊部から大腿筋膜張筋部に変化した。 今度はその筋膜緊張を、大転子から上下に手術痕を挟んで対角にリリースした。 するとSLRも問題なくできる。股関節の屈曲運動も可能になった。 顕著な圧痛のない痛みの領域は、責任部位ではないと診た方がいい。 後で聞いたのだが、冬の合宿中にノロウイルスで腸炎になったらしい。 この症状には、そんな経過も関与したのかもしれない。
by m_chiro
| 2014-01-14 18:04
| MPS
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