2013カイロ学会・リポート
「日本カイロプラクティック徒手医学会」(11.9-10)が開催された。
テーマは「徒手療法の役割」である。
今年の学会でも沢山の刺激を頂いた。

外部からの招待講演の人選とその内容も、今学会の一貫したコンセプトを窺わせるものだった。
山口創先生(桜美林大学心理学・教育系 准教授)の基調講演「皮膚と心~「第3の脳」としての皮膚の役割」を切り口として、山本義春先生(東京大学大学院教育学研究科 教授)の特別講演「生体のゆらぎとその役割」へと続く。

山口先生は、皮膚を単なる自己と外界を分ける被膜ではないとみる。
皮膚は心の発達や快適な人間関係を構築する入口なのだ。
そしてオキシトニンの作用によって身体に自己治癒能力が高められ、ヒト機能の恒常性を維持している、とその仕組みを読み解いてみせてくれたのである。
皮膚を通した刺激は、脳との緊密な関係性があるのだ。

では、その皮膚に与え得る刺激と役割とはいかなるものであるか。
山本先生は「確率共振」という現象の概念から、その役割を説いた。
どのような刺激が生体系のゆらぎをもたらすのか。
その生体のゆらぎには、どのような機能的役割があるのか。
刺激とその機能的影響について、自律神経系、姿勢運動制御系や五感などにみる役割について実例を挙げて解説してくれた。

ワークショップは「臨床機能神経学」である。
カリフォルニアで開業する吉沢公三(D.C.)先生によるカイロプラクティック神経学を紹介する講演である。
ヘミスフェリシティーという用語は、左あるいは右の脳機能が低下することのようだ。
左右の脳機能は、決して独立して存在しているものではなく常に情報の交流がある。

ところが、ヘミスフェリシティーが起こると、様々な身体の不調現象が起こる。
それは筋骨格系の諸々の障害に結びつくだけでなく、自律神経症状や他の機能的疾患、精神科領域の疾患にも結びつきやすい。
そのことを証明するように、発達障害のケース・スタディとして治療記録を披瀝してくださった。

機能神経学を応用した検査と治療は、従来の概念を一変したものであった。
とかく、治療者の関心は治療手技の手法に関心が向く。
吉沢先生は、何のための(手技・刺激の目的)、いつ、どこ(身体部位)に刺激を入れるか、という身体から脳に向かう情報伝達の神経ルートを考慮して刺激を送る。

その刺激はカイロプラクターが用いる手法と何ら変わるところはないが、神経系のルートを考慮した入力法である。
その後に刺激が身体機能にいかにフィードバックされたかを確認する。
良い結果がうまれたら、個々に独自のプログラムを作成して在宅エクササイズを処方する。
その成果を治療室で確認しながら、進めるというものであった。
ここでも神経系のルートを考慮した刺激の目的論が重視されていて、いろいろな意味で治療の概念がシフトしているのを感じたワークショップであった。

パネルデスカッションでは「臨床の落とし穴」がテーマである。
落とし穴に嵌まった症例、印象に残る症例などをパネラーが出題し、「ケース・カンファレンス」の手法で臨床推論しながら進める手法である。

「ケース・カンファレンス」は、とかく徒手療法の業界では疎んじられている。
しかし、こうした臨床推論のあり方は見立てや症例の考察に活かされる。
要するに、技術論ではなく、何のために、どう対応するか、といった吉沢先生の紹介されたケース・スタディに通ずる訓練ができるのだ。
c0113928_2359788.jpgケース・カンファレンスは、私が所属する「九州カイロプラクティック同友会」で20年以上も継続してきたCCR(ケース・カンファレンス・リポート)の発展型として採用された。

私もCCRの改良に協力させていただき、また今回はパネラーとしても参加した。
時間が足りず押せ押せで終了したが、CCRに関心を持つ人が少なからず出てきて嬉しい企画であった。
c0113928_045483.jpg

懇親会では、旧知の先生方と飲みながらの談笑。楽しい夜を過ごした。
刺激的な学会だったなぁ~!
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by m_chiro | 2013-11-15 00:07 | カイロプラクティック | Trackback | Comments(0)
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