シュガー・ブルース「砂糖病」
1923年のアメリカでは禁酒法が全盛で、アルコールに代って砂糖消費が急激に増大した時でもあった。その時に「シュガー・ブルース」という歌が世に出た。
アルコール中毒者は逮捕されるので、酒飲みたちは日が暮れるとアルコールの代わりにキャンディのビンから手を抜くことができなくなっていく。
やがて彼らはアルコール中毒から砂糖常用者になった。

「シュガー・ブルース」は、ひとりの砂糖常用者が個人的な状況を歌った歌だ。
やがて「シュガー・ブルース」は、全世界の砂糖中毒症を意味する代名詞になる。

「抜け出したい、溺れたい」、「寄るな、寄って」、「お願い、やめて」….。
魅惑と拒絶の二つの感情が対立するブルースの基本的な構図の作詞である。
そんな悩める心根が歌われたのだ。

ジン、コカイン、モルヒネ、ヘロイン、砂糖。
共通した「白い物質」と「中毒症状」。
分かっちゃいるけど止められない。

c0113928_23453176.jpgウイリアム・ダフティの本・「砂糖病」は、原題が「Sugar Blues」(シュガー・ブルース)である。

歌の題名を本のタイトルにしたのも、著者のダフティ自身が砂糖中毒の重症患者だったからだろう。

砂糖中毒からの脱出経験をもとに、砂糖病の背景と実態が書かれている。

1979年に翻訳本が刊行された時に、この本を読んだ。ちょうど、私が開業した頃である。とても刺激的な本だった。
例えば、こんな行(くだり)がある。

澱粉や(蜂蜜や果物に含まれているような)多糖類が消化されると、モノサッカライドすなわち単糖類に分解される。これは体が利用できる物質であり、栄養分である。しかし、澱粉と糖類が一緒に摂取され、発酵が行われると、澱粉と糖類は二酸化炭素(炭酸ガス)、酢酸、アルコール、水に分解されてしまう。これらの物質は、水を除けば、すべて体が利用できない物質であり、毒である。タンパク質が消化されるとアミノ酸になるが、これは体が利用できる物質であり、栄養分である。しかし、タンパク質が砂糖と一緒に摂取されると、これらは腐敗し、様々なプトマインやロイコマインに分解されてしまう。これらの物質は体が利用できないものであり、毒である。酵素による食物の消化は、体が利用できるような形に食物を整えてくれるが、バクテリアによる食物の分解は、体が利用するのに適さないような形に食物を変えてしまう。前者は栄養分を我々に与えてくれるが、後者は我々に毒をもたらすのである。


砂糖病とされる症状はいろいろあるようだが、上記の記述に典型的な患者さんがみえた。

彼女の訴えは、喉や胸部に何かが詰まっているような感じがあり、中胸背部が苦しいのだそうである。
3月頃からの症状で、もう3~4か月続いている。

耳鼻咽喉科や内科も受診し、CTその他ものもろ検査をしたが、胃カメラ検査で「逆流性食道炎」と診断された。
2週間ほどの投薬治療でよくなり、漢方薬の処方に変わったのだそうだが、症状は相変わらずに続いていると言う。

彼女は私の患者さんの友人で、他県に在住している。
居住地に推薦できる治療家はいないだろうかと尋ねられたのだが、残念ながらいなかったのだ。それで遠路、友人を頼って私のところまで出向いてみえたのである。

身体を診させてもらうと、クロストーク現象やエネルギーバランスの乱れがあり、姿勢制御系パターンを複数内包している。もっとも気になったのは、中胸部から上腹部にかけて貫通するように乱れたエネルギーバランスだった。これでは疲労感も極まっていることだろう。

直感的に「砂糖病」がイメージされたので、聴き取りをすると絵にかいたような生活習慣や食生活を覗いたようだった。
しかも砂糖に至っては、想像以上の摂取である。
食後のデザート、コーヒーに砂糖、中間のケーキやお菓子、飴玉に清涼飲料水などなど…。
これでは有機酸がつくられるのでゲップが出る。お腹がはる。
その上に食欲がない。疲れやすい。動揺感にめまい感、次々と不調が報告された。

治療を終えて、砂糖病のこと低血糖状態のことなどをお話しして、まずは2か月ほどの砂糖絶ちを勧めた。その他に油物、乳製品、脂質の摂取に気を付けるように食と「異化、同化」の話をした。
おそらく脱砂糖の辛い日が続くだろうが、1週間もすればそれも安定するだろう。

予測通りに、いい報告が彼女から入った。
砂糖の害、中毒症状、これらは思いもかけない症状を生む深刻な食と生理機能の重要な問題だと思う。
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by m_chiro | 2013-06-19 23:59 | Books | Trackback | Comments(0)
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