あるがままに
この時期になると、きまって治療室を彩るクンシラン。
黄色の花である。 もう何年もの間に株を増やして大きくなり、見事な姿になった。 今年は開花前に時ならぬ霰に叩かれて葉が傷み、あちこちちぎれてしまった。 ちょっと痛々しい姿になったが、それでも立派な花をつけた。 その一瞬をただあるがままに咲いているクンシラン。 傷んでちぎれた葉を悔やんで咲いているとは思えない。 格別に寒さが厳しかったこの冬を恨んでいるそぶりもない。 明日の身の上を案じているふうでもない。 やがて枯れてしまうことなど、気にもかけていない。 何とも誇らしげに、今を咲いているようにみえるからだ。 それにひきかえ、人はなんと些細なことを悔やみ続ける生きものだろう。 今年のクンシランを眺めながら、この詩のことを思い出した。 窓の下に咲いているバラは、昨日までのバラではない。 昔のバラや、もっと奇麗だった頃のバラでもない。 単にそこにあるがままのバラで、今日という日を神と共に過ごしているバラだ。 それらのバラにとっては時間など存在しない。 ただここにバラがあるだけ。 そしてそのバラは一瞬一瞬が完全な存在なのだ。 ところが人は、未来をあてにしたり、思い出したりする。 人は現在に生きることなく、振り向いては過去を嘆き悲しみ、周囲の豊かさには無頓着で、背伸びして未来を予測しようとする。 人間も時間を超えた現在の中で自然とともに生きない限り、幸福にもなれなければ強くもなれない。 (「グレース&グリット」より一部改編)
by m_chiro
| 2013-05-30 00:11
| 守屋カイロ・オフィス
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