「注連寺」を訪ねて
森敦が小説「月山」で芥川賞を受賞したのは、氏が62歳の時の昭和49年のこと。
奥さんが庄内の人で、森敦は戦中・戦後の貧困の時代を庄内で過ごしている。
「月山」に代表される森文学は、その時代の経験や思索が基になった。
その後に発表した「われ逝くもののごとく」(1987)は、野間文芸賞を受賞した。
やはり庄内が舞台で、“生死一如”の死生観が背景に綴られている。

さて小説「月山」は、出羽三山のひとつである「湯殿山」の別当寺「注連寺」で過ごした一冬の体験が生んだとされている。

ガイドの女性が、「羽黒山は[現在]を、月山は[過去]を、そして湯殿山は[未来]を現している」と話していた。
庄内地区では、よく鳥海山を「生の山」、月山を「死の山」と対比させて話す言葉を聞いたことがあるが、出羽三山の対比を聞いて、なるほどなぁ~、と思った。
日本に特有の霊魂に対する考えや死生観が、庄内では無自覚に信仰されている風土に形成されているように思えてくるのである。

よく「物」と「精神」を別に考える二元論がある。
同じように「生」と「死」を別に捉えようとする。
しかし出羽三山信仰では、生と死は一如とする死生観が色濃い。
死後は個人の過去の善行悪行に関わらず、浄化されて等しく没個性としての神仏となる。
その浄化のプロセスに「森の山信仰」がある。
死後は全てが「森の山」に帰り、そこで浄化されるという民俗信仰だ。
湯殿山を「未来」と観たてるのも、そこは黄泉の国だからだろう。
そして注連寺は、黄泉の世界(湯殿山)と死の世界(月山)に結界(注連)を張るところでもあるのだろうか。

注連寺は弘法大師・空海の開基である。
注連寺が建つ処に「七五三掛桜(しめかけさくら)」の木がある。
「七五三掛桜(しめかけさくら)」は桜の品種ではない。「しめかけ」地区の桜のことである。
咲き始めは白色の花で、次第に桃色の変化する神秘的な桜で、東北の桜の銘木でもある。
この桜の木の下で、空海は49日間の護摩祈祷を勤修して注連寺を開いたと伝えられている。
訪ねた時期には、もうだいぶ葉桜になっていた。
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境内の裏には、水芭蕉が見頃に咲いていた。
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2009年に、注連寺の天井絵画と即身仏は、ミシュランが発行する日本の旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャパン」に選ばれている。
ミシェランから星をいただいている寺であるが、この注連寺の天井絵画がみごとだった。
顔マンダラ、生命マンダラ、四方を見回す龍、見る角度によって表情が変化する二頭の馬、
合掌する老婆の手など、
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ミシュランが取材した動画がYouTube「ミシュラン注連寺」で観ることができる。


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by m_chiro | 2013-05-26 23:41 | 庄内の記 | Trackback | Comments(0)
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