「痛み学」NOTE 58. 炎症・腫脹にみる合目的活動のダイナミクス②
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。


炎症・腫脹にみる合目的活動のダイナミクス②
②白血球の合目的ダイナミクス


この血管の透過性を亢進させるステップは、生体防御という戦略を実行するためのメカニズムを発動させる最初の戦術である。
それもすべて、白血球という強力な戦力を局所に動員して生体を防御し、組織を修復させるために、合目的でダイナミックな活動が展開されるのだ。

さて、血管透過性が高まると、水分が血管から滲出する。血漿成分も組織液へ滲み出ることになる。
したがって腫脹(浮腫)が起こるのだが、このプロセスが実に巧みである。

血漿成分が滲出すると、血管内の血液成分は減少することになり、粘性が増す(濃縮)。
だから血流は緩やかになる。

血流が緩やかになることで、血管の中心を流れている血液成分が血管内皮細胞に集まるようになる。白血球を血管外に誘導するためには、どうしても内皮細胞の周辺に待機させておかなければならないからである。

一方、炎症局所の細胞群からは「ケモカイン」という白血球走行(遊走)因子が分泌され、それを周辺に拡散させる。
c0113928_910733.jpg

このケモカインが血管に到達すると、血管内皮細胞を刺激することになる。
白血球の働きを誘導するためには、ケモカインが重要な作用を受け持っている。
西部劇に出てくる幌馬車隊を誘導する偵察隊のような働きとして理解しておくと分かりやすいかもしれない。

血管内皮細胞の膜表面には、白血球を内皮細胞に引き寄せる細胞接着因子(セレクチン、インテグリン)があり、ケモカインはこれらの接着因子を活性化させるのである。
細胞接着因子が活性することによって、白血球は内皮細胞に添って走行していく。
そして、内皮細胞の収縮によってつくられた隙間(すきま)から血管外に出る。
c0113928_9104698.jpg

この間隙を抜けるときに、白血球はアメーバーのように形を変えて通り抜ける。

そしてMMPs(タンパク質分解酵素)を分泌し、血管壁細胞の基底膜を部分的に破壊して血管外に出る(浸潤)のである。
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by m_chiro | 2013-02-15 09:12 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(0)
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