PGE2は、炎症や痛みにどうかかわるのだろう?①
「腱線維芽細胞の反復的なストレッチ運動で炎症性メディエーターがつくられる」
Repetitively stretched tendon fibroblasts produce inflammatory mediators.
Pittsburgh Medical Center大学・整形外科(Wang JH , Li Z , Yang G , Khan M . )からの研究。

この研究は膝蓋腱が特定の運動によって、その線維芽細胞が分泌型ホスホリパーゼA2(PLA2)の活性、プロスタグランジンE2(PGE2)とシクロオキシゲナーゼ(COX)酵素の発現に、どのような影響を与えるかを調べている(in vitroでの調査)。

ところで、「ホスホリパーゼA2」は酵素である。
それがなぜ重要なのか。
怪我などで組織が損傷すると細胞の膜が壊れるのだが、その細胞膜を作っている物質(リン脂質)に働いて、痛みを生み出す源になるアラキドン酸がつくられるのである。

そのアラキドン酸が作られる前にPLA2の酵素を叩けば、痛みのもとの物質が作られない。
だから痛みを抑えることができる。
そのPLA2を抑えるために使われるのがステロイド剤である。
が、スレロイド剤の使用は厄介な副作用に繋がる。だから、乱用はできない。

そこで、アラキドン酸から炎症物質のプロスタグランジンE2(PGE2)をつくりだすシクロオキシナーゼ(COX)を叩こうというのが、通常使われる非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID's)である。
c0113928_1855493.jpg

図は「社団法人 八日会」の「先端医療講座」より転載。炎症についても分かりやすい記述がある。

調査対象の3役(PLA2、PGE2、COX)が出揃ったので、この研究は痛みに関わる物質の産出を調べた内容であることが分かる。
さて、その結果は以下の通りである。

1.PLA2の活動レベルは、反復的ストレッチ群が分泌性で190%、細胞質ゾル液性成分で88%の増加が見られた。

2.PGE2は、0.1 Hzから1.0 Hzによる腱の線維芽細胞のストレッチで、それぞれ40%と69%の産生増加がみられている。

3.COX1とCOX2は周波数依存法で増加したが、COX2がCOX1よりも増加している。


もっともCOX2は、炎症にともなって線維芽細胞や滑膜細胞、マクロファージなどに発現するとされているので、当然と言えば当然の結果である。

COX1は、胃腸や腎臓、血管内皮細胞にあって細胞膜などを保護している。
だから、COXを阻害してPGE2の生成を抑える非ステロイド消炎鎮痛薬(NSAID‘s)を服用する場合は、胃腸薬も処方されるわけである。

したがって、この研究から腱を反復ストレッチするときには、腱の炎症を引き起こす可能性があるだろうと指摘しているのだが、この「in vitro」の結果はよく知られている。

ところが、実際に人体での研究ではどんな結果になるのだろう。
その研究については、次回②に….!
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by m_chiro | 2013-01-31 18:21 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
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