「型破り」と「形無し」
c0113928_011636.jpg歌舞伎役者の中村勘三郎さんが無くなられた。57歳だった。
ひとりの伝統芸能における重要な無形文化が消えてしまった。
とても惜しまれる死だ。

私がはじめて中村勘三郎さんの芸を観たのは、中村勘九郎時代の時だったので14~5年まえのことだろうか。酒田での歌舞伎公演である。
田舎での歌舞伎公演で、はじめての勘三郎さんの芸を観て驚いた。

静から動、動から静、すべての動きにまるで歌舞伎絵を切り抜いてきたような瞬間の連続を感じたのである。
体軸がピタリと地に吸いついたようで、それは「動」の中にある「静」を感じる動きであった。
一度は歌舞伎座でもう一度観たいと思っていたので、早すぎる死は惜しみても余りある。

病は初期の食道癌からはじまった。その初期の癌は1mlの大きさまでとされる。
検診で見つけることができる大きさは0.5mlだそうだ。
ところが転位能力があるか否かは0.000002mlの大きさだと言うから、検診では転移性癌か否かは実際のところ見つけられないという話である。

そして、癌の進行度は「ステージ」で病期を現している。
それは次のように分類されているようだ。

StageⅠは、粘膜内に限局した癌
StageⅡは、その周囲に広がりをみせる癌
StageⅢは、リンパ節への転位巣がある癌
StageⅣは、他の臓器への転位巣のある癌


進行度はⅠからⅣへと移行するわけで、ⅠからⅡのステージの癌を見つけよう、というのが癌検診の狙いである。
しかし、それでは転移する能力のある癌か、その能力がない癌かを見分けることができないわけだ。
つまりは、ステージⅡを越えた病期の癌は「型破り」の癌なのだ。
これでは癌検診の本来の目的を達成できるとは思えない。

さて、勘三郎さんの食道癌は初期の癌と報じられていたが、その時点でリンパ節への病巣が見つかっていたそうであるから、ステージではⅢになる。
この病期における癌細胞は、6~8回の分裂で癌総量が1.000mlだそうだから、これはもう宿主への「死」をもたらすステージである。

初期とされた食道癌が、決して初期の病気ではなかったとうことだろう。
だから、癌検診の意味がPRほどの効果があるとは思えない。

それはともかくとして、中村勘三郎さんの死は惜しまれてならない。
手術の選択肢でなかったら、どのような最後になっただろう、と思ってしまう。

その勘三郎さんの座右の銘が「型破り」だそうだ。
無着成恭さんの言葉に影響されたのだそうである。
要するに、「型」があるから「型を破れる」のであって、「型」が無ければ只の「形無し」だというわけである。

「型」つまり「基本」が重要なんだね。
これは治療のスタイルでも同じことのように思う。


参考文献:李漢栄著「癌患者を救いたい」(六然社刊)
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by m_chiro | 2012-12-08 00:12 | 雑記 | Trackback | Comments(0)
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