六然社・直伝講習(9.19)「復習Guide ⑤」
参加者のために「復習のためのガイド」を記しておきます。
(前回の記事に掲載した眼球運動の図を変更しています。) ⑤ 患者モデル(女性)の検査結果からの推論 記憶が薄れていて正確かどうか怪しいものがあるが、モデルになっていただいた女性のケースで肝心の検査結果とその姿勢制御系に関する推論を述べておきたい。 ②視動反射:左(+)、右(+) ③眼球運動:水平運動注視(左+)、斜め下方運動注視(+) ④頚眼反射:頭頸部左回旋位(+)、頭頸部左側屈位(+) ⑤胸部-腰骨盤部:胸部回旋(左+)-腰骨盤部回旋(右+) ⑥股関節:外転(右+) ⑦足関節:背屈(右+>左) ⑧仙骨:基底部の後方回旋(右+) (+)の表示は神経学的な異常を示すものではない。刺激/抑制バランスの存在を示している。「刺激/抑制バランス」については次回に解説したい。 上記の結果から、このモデルでは2つの姿勢制御の歪みパターンを見てとれる。 ひとつは頭位の左傾斜(Tilt)で、これは前後軸(Y軸)における頭の傾きという現象である。この左傾斜は、右斜め下方運動注視(+)による代償作用であろう。 前回の記事の眼球運動の図で、右斜め下方注視における左眼の上斜筋と内直筋による眼球運動反射に遅延があるのではないかと推測できる。 股関節では右外転位で代償しているパターンであるが、モデルのTiltパターンはおそらく右足関節の異常なシグナルによって代償されているように思われた。 足関節の固有受容器は、姿勢制御系でも重要な意味を持っている。 このモデルの足関節問題には注意すべきと感じた。足関節の固着を解放することで、Tiltパターンもリリースされることが臨床上よく経験するからである。 あくまでも推論に過ぎないが、このモデルは右足底足尖部にウエイトをかけて立ち、右斜め下方視線を使うことが多いのではないだろうかと思えた。そのために足関節が固着し、可動制限があった。重要な治療ポイントのように思えたのである。 しかし、ここではあくまでも視覚系へのアプローチする手法の紹介であるため、足関節への対応はしなかった。 このモデルの本質は、左水平運動注視(+)と頭位との組み合わせによる頚眼反射(左+)に抑制バランスが起こることにある。ただし、注意しなければならないことは、頭頚部を左回旋させた時に、眼球を左水平注視位にしないでリラックスさせなければならない。抑制(左水平眼球注視+)の抑制(頭頚部左回旋+)は興奮になるからだ。 モデルでの頚眼反射(左+)は、Z軸(Yaw軸)における回旋障害として表現されている。 これは後頭部における回旋(Yaw1)、胸―腰骨盤部における回旋(Yaw2)、仙骨部の回旋(Yaw3)のすべて、あるいはいずれかに代償パターンがみられることになる。 モデルでは、Yaw2における「右前方寛骨―下部肋骨左前方」の回旋、Yaw3「右仙骨基底部の後方回旋」の代償作用が現出していた。 この現象に対して、視覚経路に直接にアプローチを紹介したわけである。 この手法で、モデルの抑制バランスは解消した。が、最終的には右仙骨基底部の後方回旋が残された。これは別個に、右仙骨基底部へのリコイル、および右股関節外転に対して梨状筋に対するリコイル、によって対応する手法を紹介した。 次の視神経経路をよく観察してもらいたい。内圧変動を視るときの参考になる。
by m_chiro
| 2012-10-11 23:12
| カイロプラクティック
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