身体を動かさないことのリスク② 座って過ごす時間が長いほど、寿命は縮むらしい
身体を動かさないことのリスク
②座って過ごす時間が長いほど、寿命は縮むらしい

痛みだけでなく、動きを制限することにはいろんなリスクを伴うようだ。

こんな研究報告もある。
アメリカ癌学会(ACS:American Cancer Society)のサイトからの論文Abstract“Study Links More Time Spent Sitting to Higher Risk of Death”である。
より多くの時間を座って過ごすことが、死の高いリスクと関連するという研究である。

そのリスクは、身体の活動レベルに依存していることが分かった、というのである。
第一著者はアメリカ癌学会(ACS)のDr.Alpa Patelである。
癌学会からの報告と言っても、癌と身体の活動性との関連を調査したものではない。

肥満や体重過多の人に対して、運動の有益性が語られることは珍しいことではない。
Dr.Alpa Patelらの今回の研究は、座って長い時間を過ごす人の平均寿命は短くなる、というもの。
長時間の座ること自体と死亡リスクの関連性を調査している。
長時間の座位生活と寿命のリスク(総死亡率)との関連は、肥満や日常の身体活動とは関係なく認められるのだそうだ。

被験者は「癌予防研究Ⅱ」に参加した病歴のない成人123,216人が対象である。
1993~2006年の14年間にわたって追跡調査した回答の分析結果である。

座位生活が6時間/1日の人では3時間未満の人に比べて女性で37%、男性で17%も死亡リスクが高かったそうだ。
もし1日のうちに多少なりとも運動を取り入れれば、座位生活による死亡リスクは減少する傾向がみられるが、それでも死亡リスクが高いことには優位な差があるという。

これが余暇時間を長時間座位生活で運動や体を動かさない人の死亡リスクは、相当高い傾向である。
女性で94%、男性で48%というデータだ。

Dr.Alpa Patelの分析によれば、座位が長いほどエネルギーの総消費量が少なく体重増加や肥満になりやすいが、それ以外でも生物学的因子の可能性を否定できないとしている。
例えば、下肢の筋肉を動かさないとホルモン分泌が変化すること、そして中性脂肪やコレステロール、空腹時血漿グルコース、リポ蛋白、安静時血圧など心疾患リスクのマーカーに影響すると述べている。

こうした研究分野を「不活動性生理学(inactivity physiology)」と呼ぶそうで、この領域の研究論文が急増中なのだそうだ。
医学誌「Archives of Internal Medicine(内科学)」3月26日号に掲載された次の論文もそのひとつのようである。
“Sitting Time and All-Cause Mortality Risk in 222 497 Australian Adults”
オーストラリア成人の222,497人における座位時間と全死因死亡リスクを調査した論文で、ここでも同様の見解を示している。そして、公衆衛生プログラムは、身体活動レベルを増加に加えて、座っている時間を短縮することに焦点を当てるべきである、と結論づけている。

ただし、これら研究は座って過ごす総時間と死亡リスクの関連性を示したものの、その因果関係を証明したものではない。
要するに「不活動」に陥ることなく、かと言って「過活動」になることにも気をつけて、程よい運動を習慣化することが大切なのだろう。

エネルギーは適度に消費せよ! と言うことか。
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by m_chiro | 2012-04-12 12:38 | 痛み考 | Trackback | Comments(2)
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Commented by シャルル at 2012-04-15 10:52 x
痛みがあるとき、どうしても活動時間が減ります。
知り合いの60代の女性ですが、膝の痛みで大変苦労されていたのですが、整形外科の医師から「運動しても大丈夫」というお墨付きを頂いたそうです。
杖を突いて、布団からベッドに変更したりと、かなり痛みがあった方です外、
今はもともと趣味だったグランドゴルフに寝中されています。
グループ練習以外にも、自分で練習をするほどです。

「動けない(動いてはいけない)」と「動ける(動いても良い)」では、機能予後に大きな差が出ますね。生命予後にも大きな影響があるのですね。
町の小さな整形外科医の中には、名医もあるのだなあと感心しました。
Commented by m_chiro at 2012-04-18 09:08
シャルルさん、おはようございます。
お元気ですか?

痛みを訴えると、ともかく動くなと指導されることが多い中で、うれしい話ですね。
でも「過活動」と「不活動」は同じ痛みのリスクのようですから、ほどほどが大事なのでしょう。「動いてはいけない!」を信じ込んでいるために動かない、動けないがあるとしたら、それもまた不幸なことですね。
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