パーキンソンニズムと思われた患者さん
富山セミナー(2.25-26)の直前にみえた患者さん。
セミナーで「鑑別診」の時間に「パーキンソンニズム」について触れ、この患者さんの病態を紹介した。

50代男性で、奥さんが治療にみえている。
その奥さんが言うには、ご主人の動きがのろくなって、その上に猫背で姿勢が悪くなってきたのだそうだ。半年ほど前に脳ドッグで検査を受けたが、異常はない、とされたようである。
「一度、診てもらいたい」と言って連れて見えた。

明らかにパーキンソンニズムの徴候がある。
パーキンソンニズムは特有な症状を示す。
姿勢反射の障害もそのひとつで、猫背で前傾姿勢になって歩幅を小さく歩く。「無動」や「ななめ兆候」という椅子に座る姿勢が一側に傾く姿位もそうである。

またや安静時の振戦もある。
興味深いことに意識を他に向けさせると治まる。
大抵は一側の手の震戦に始まり、同側の下肢へ、更に対側の上肢から下肢へと連鎖していく。

筋運動の強剛(rigidity)も特徴的である。
運動の起動から最後までほぼ一様に感じる抵抗感がみられる。
「歯車様強剛」とか「鉛管様強剛」とよばれる抵抗感のある運動である。

これらのパーキンソンニズムのうち、この患者さんに特徴的な症状は「ななめ兆候」と軽度の特徴的な歩行、動作の緩慢さだった。
強剛はみられない。振戦もない。
その上、半年ほど前に脳のMRI診断を受けている。

パーキンソンニズムの判定のうち2項目だけが該当していて、ぎりぎり治療対象とされるが、他の疾患を除外しなければ「パーキンソン病」の確定にはならないとされる。
パーキンソンニズムの原疾患が何か。
薬物などに曝されても薬剤性パーキソンニズムが起こるし、脳血管性パーキンソンニズム、その他の脳の変性など、それは専門医の鑑別診断が必要となる。

この患者さんに、例えば手の振戦がでるようだったら神経内科を受診するように勧めておいた。母指と第2指が接触している手の様で、今にも丸薬を丸めるような動きの振戦が始まるような態勢にあったからだ。軽い体操なども日課にすべきだと話した。

さて、この患者さん1ヵ月も経って、再診にみえた。
先日から左指に振るえがでるようになったので、神経内科を受診したと言う。
パーキンソンだろうと言われて、1週間後にMRIの予約が入ったようだ。
必ずしも画像が決定的になるわけでもないが、診断手順としては当然だろう。

左の肘関節の運動に軽度の強剛が出ていた。
右肘の運動はスムーズだった。

パーキンソンの病態分類は1度~5度に分けられている。
1度は一側性パーキンソンニズムなので、きっとこの患者さんは1度の分類されるのだろう。
もう20年も前に、やはり50代の男性に同様な患者さんがみえたことがある。
この方も早めの投薬と自覚的な運動調整を続けて、70歳ほどになった今でもしっかり仕事に従事している。早めの対応で、頑張ってほしいと思う。

身体平衡機能系の調整することで、徒手療法もお手伝いできるものがあると思っている。

「パーキンソン病の診断基準

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by m_chiro | 2012-03-30 14:19 | 症例 | Trackback | Comments(0)
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