痛みは脳の中にある⑦
痛みは脳の中にある
⑦ 国際疼痛学会が推奨する「慢性痛の評価」:IMMPACTⅡ(2005)

痛みを数字で客観化しようと試みても、一面的な評価の域を出ない。
そうなると、病歴を取りながらよく聴き取ることから概容が浮かび上がらせることが大事なように思う。
「聴」という字を分解すると、耳、目、心を十分に使う行為であることが分かる。
だから昨今では「聴取」や「インタビュー」という言葉で、問診のあり方を表現することがあるようだ。
患者さんとの相互の信頼を築くためにも、触診や身体所見をとるプロセスも欠かせない。

国際疼痛学会は、痛み研究の評価法について「IMMPACT」(2003):initiative on method, measurement and pain assessment in clinical trialsとして提唱した。
そして2005年には改訂版の「IMMPACTⅡ」を推奨している。
IMMPACT recommendations
http://www.immpact.org/publications/Dworkin%20et%20al.,%202005.pdf#search='IMMPACT(initiative on method, measurement and pain assessment in clinical trials'

そこには6項目の効果測定を推奨したもので、痛みを多面的に捉えようとする意図が読み取れる。

①痛み(pain)
②身体機能(physical functioning)
③情動機能(emotional functioning)
④患者による評価:治療の満足度と全体的な改善度(participant ratings of global improvement and satisfaction with treatment)
⑤症候と憎悪イベント(symptoms and adverse events)
⑥患者気質(participant disposition)


こうしてみると、痛みの強度や性質を数字化しても6分の1の評価に過ぎないことがわかる。
情動機能の評価や憎悪イベント、知覚検査などの身体所見、患者さんの気質にも評価が及んでいるのである。
つまりは痛みの強度だけではなく、痛みに伴う身体機能や行動の評価が重視されていることでもある。
痛みを消し去ることは努力目標に他ならないが、先ずは痛みを抱えながらでも自立できる生き方を叶えることだろう。
QOLやADLを高めることである。そのために何ができるかを求め続けていくことではないかと思う。
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by m_chiro | 2012-02-09 09:24 | 痛み考 | Trackback | Comments(2)
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Commented by シャルル at 2012-02-12 11:11 x
線維筋痛症の診察の前には、必ずアンケートがあって、痛みの度合いを10段階で、行動の度合いを10段階で書かされます。
すると、痛みの度合いと、出来ることの度合いは必ずしも一致しないことに気づきます。

全く動けないくらいの痛みであれば、一致しますけれど。

痛みになれている人は、工夫をしてやり繰りできる。ものすごく無理をして、やり繰りしてしまう。

頑張りすぎたからか、メイジュ症候群になってしまいました。できるからいいんだという考えが、果たしていいのか、最近疑問に感じるようになっています。

痛みというのは、本来自己保存のためのもの。慢性痛は単なる脳の勘違いでいらない痛みだと考えるのは、危険なのかも?

そんなことを考えています。
Commented by m_chiro at 2012-02-13 09:30
シャルルさん、痛みと現実的に向き合っておられる患者さんの意見はとても貴重なものと思っています。治療者側の意図が必ずしも患者さんの思いと一致しなければ、どこで擦りあわせることができるか、とても難しい課題ですね。

最近、線維筋痛症のドーパミン仮説を目にしました。
パーキンソン治療薬が50%の治療効果があったそうで(従来の抗鬱剤はせいぜい35%どまりとか)、俄然、L-DOPAが注目されているのだそうです。
自律神経を立ち上げる神経線維が青斑核から辺縁系を経由し、大脳基底核には影響されないのじゃないか、というものです。夜間の自律神経調整が誤った振る舞いをするのが原因ではないかと....。
この辺にもパーキンソン病の機序との共通項がありそうだと論じていました。とても興味深く思います。また、勉強します。
また、教えてください。
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