やはり「痛みの生理学」が欠落しているとしか思えない!
「日経メディカル・オンライ」に連載されている「レセプトを読み解く」の最新記事・『病名に「痛」が付いた疾患で、受信者が最も多いのは?』(2011.12.22)は、やはり「痛みは医療の重大な問題であるということを再認識させるものだった。

記事の著者は木村真也氏(株式会社・日本医療データセンター社長)で、1000万件を超えるレセプトや健診データを分析して医療の問題や現状に探りを入れている。今回の記事もレセプトの出現頻度を調べた内容である。

レセプトに出てくる病名で、「痛」が付いている頻度に限定しての調査である。その病名だけで「341」あったそうだ。その341の病名から記載された患者の実数を集計し、受診率を割り出したものである。
と言うことは、「椎間板ヘルニア」とか「脊柱管狭窄症」とか、痛みの原因疾患として臨床現場で頻繁に使用されているものは除外しているのだろう。

この記事の狙いのひとつは、痛み症状の保有者数における男女比をみることにある。だから、既に明らかな「陣痛」や「痛風」は除外されており、「痛み症状」そのものの総数ではない。さらに代替療法を受けた痛み患者は、実数にカウントされていない。

それらを割り引いてみても、「痛み」は人間の最も身近で深刻な問題として、相変わらず存在し続けていることがわかる。

記事の図1~4は、年代別に受診率ベスト20を男女比で集計している。見ると年代別に
特徴があるものの、頭痛、腰痛は1位、2位を争ってダントツで、デッドヒートしている。 
c0113928_232335.jpg


「腰痛症」の年代別推移で男女とも倍々に増加している。
その具体的病名のベスト20に「筋筋膜性腰痛症」がランクされていて、これは意外であった。
興味深いのは圧倒的に多い「腰痛症」や「頭痛」である。つまり「原因は特定できません」と宣言した病名である。

「筋筋膜性」という概念を持ちながら、よく分からない、原因を特定できないとされる「腰痛症」や「頭痛」が他の病名を圧倒的に凌ぐ頻度で出てくるのである。
そのこと自体、何よりも不可解だと思えてくる。

やはり、臨床の現場で「痛みの生理学」が欠落しているとしか思えない。
それとも、「筋筋膜性疼痛症候群(MPS)」への理解が不足しているのだろうか。
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by m_chiro | 2011-12-25 23:07 | 痛み考 | Trackback | Comments(2)
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Commented by タク at 2011-12-26 21:25 x
こんにちは。

筋筋膜性腰痛症をぐぐると判りますが、筋筋膜性疼痛症候群のよる腰痛と違う概念ですね。
そこには、トリガーポイントの概念は無いし、筋硬結、関連痛や、ミオシン、アクチン、Spasmの概念も無いです。

筋筋膜性腰痛症を診断した医師に「Travell先生、Simons先生って知ってます?」と尋ねても
「誰それ?」でしょう。
Commented by m_chiro at 2011-12-27 16:54
タクさん、よく考えれば確かに「筋筋膜性障害」とレセプトにあがっているのであって、「筋筋膜性疼痛症候群(MPS)ではないわけですね。
要するに、捻挫のような損傷を指しているのでしょうね。
やはりMPSは、疾患名として存在していないわけだ。
納得しました。
ありがとうございました。
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