「痛み学」NOTE48. トリガーポイントはどのようにして作られるのか②
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです

48. トリガーポイントはどのようにして作られるのか②
② 古典的仮説「エネルギー危機説」


筋腹にできるトリガーポイントが、キーとなる責任トリガーポイントだとされている。
その根拠はなんだろう。
それには、提唱者であるTravell医師のトリガーポイント仮説に遡らなければならない。
Travell & Simonsによる「エネルギー危機説」とされる初期の仮説である。
図はTravellが「トリガーポイント・マニュアル」第2版に掲載されたものであるが、日本語に翻訳されてトリガーポイントに関する論文や著作によく引用されている。
c0113928_829644.jpg


筋の収縮運動は、フィラメントの首振り滑り運動によって実現される。
この滑り運動のエネルギー源として働くのがATPであるが、ATPの不足はエネルギー危機説の重要な素因となっている。

筋肉の収縮は、運動点(神経終盤)におけるアセチルコリン(Ach)が分泌されて脱分極することにはじまる(第1ステップ)
活動電位が横行小菅(T菅)に伝わると、T菅の両側には筋小胞体の一部が2つ接している。
その狭間に足タンパク質と呼ばれるCaチャンネルがあり、筋小胞体からCaイオンが放出される時の通り道となる。

こうしてCaイオンが放出され、筋線維が持続的に収縮することになる(第2ステップ)
具体的には、筋節(サルコメア)を構成する太いミオシンFの双頭の分子が、細いアクチンFに放出されたCaイオンに引き寄せあられて接触し、連結橋が作られる。
この連結橋におけるミオシン双頭の首振り運動によって、アクシンFは筋節中央まで引き込まれ、収縮が維持される。

更に収縮するためには連結橋をATPが一旦壊して(第3ステップ)、再収縮させなければならない。その再収縮ために、再びCaイオンが必要となる。ATPが連結を破壊する。
この時点で、Caイオンは筋小胞体に吸収されていなければならない。この一連の反復で筋収縮が行われる。

トリガーポイントは、この3つのステップのプロセスにおける不具合で生じるということだろう。
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by m_chiro | 2011-10-21 08:33 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(0)
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