「ナノフォトニクス」は新たな科学の知見を拓くか?
大阪大学の河田聡教授が「第8回・江崎玲於奈賞」を受賞した。
河田教授は、1992年に波長より小さい光の粒を使って極小の物を見る顕微鏡を世界で初めて開発した。この「ナノフォトニクス」という研究領域での功績が認められたものである。

大阪大学の研究紹介のHPに「エレクトロニクスからフォトニクスへ」と題して、河田教授の研究の狙いが語られている。

「研究最前線:光をナノの世界で利用する」の記事も面白い。

2004年のギネスにも載った「ミクロの牛」にも驚きである。
ひとつのピリオドの上に、ナノテクで描いた牛が30頭も横並びで乗るという。
アナログ世界の頭には、想像を絶する話である。

こうした新しい技術が開発されると、今まで分からなかったミクロの世界が覗かれる。
そして新たな科学的知見が拓かれるのだろう。

河田教授の言葉が印象的だった。
「めざすのは教授の椅子じゃない。教科書を書き換える発見をしてこそ科学者だから」
大学で助手のまま40年を過ごしたという、真の研究者の言葉である。

そう言えば、筋肉の収縮メカニズムが解明されたのも電子顕微鏡による技術が貢献している。
それまで筋肉はバネ仕掛けのように縮むというのが定説だった。

それを覆す学説が1954年の「Nature」に発表された。
「滑り説」である。それもハクスリーという同性の2人の研究者による同様の2題の論文を共同研究として発表したのだった。

この二人のハクスリーはH.ハクスリー(英)とA.F.ハクスリー(英)で、同性ではあるが縁も由もない。

A.F.ハクスレーは科学者の名門ハクスリー家(英)の後継である。数々の研究でホームランを打っているような著名な研究者で、既に1963年にノーベル生理医学賞も受賞している。
面白いことに、このA.F.ハクスレーは博士号を取得していないのだそうだ。名門ハクスリー家の人であるということが、博士号よりもステータスがあるのだろう。

「滑り説」もノーベル賞級の発見であるが、生理医学賞は同一人が複数回受賞できない規定のために受賞の対象にはならなかった。そのため共同研究者のH.ハクスリーも受賞できなかった。

H.ハクスリーの共同研究者でもあったジーン・ハンソン(英)という女性の生物学者が、電子顕微鏡で筋肉を調べるためにアメリカに渡ったのが1952年である。
この電子顕微鏡による観察が画期的な「滑り説」を生んだのだ。

この発表から30年ほど経ってから、「滑り説」が実証されたのである。
極近年の話ということになる。
筋肉には謎が多い。それも近年の研究に委ねられた新参の学問だからだろう。

「ナノフォトニクス」の出現が、こうした組織の微細な活動に光を与えてくれることを期待したものだ。
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by m_chiro | 2011-10-14 15:18 | Trackback | Comments(0)
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