「痛み学」NOTE47. トリガーポイントはどのようにして作られるのか①
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。

トリガーポイントはどのようにして作られるのか
① トリガーポイントの現象


トリガーポイントの発生を理解するためには、筋収縮のメカニズムを理解しておくと分かりやすい。という訳で前回は、その機序を簡単におさえておいた。
痛み学」NOTE43~46. 筋肉はどのようにして縮むのか①~④

筋の収縮といっても、それは運動生理学的に正常な仕組みである。
当然、トリガーポイントにみられる収縮の状態とは違う。

筋の収縮は、単一の筋肉とその拮抗あるいいは共同する作用による筋との関わりで起こるので、その作用は広範囲の筋肉に及ぶことになる。
ところがトリガーポイントは筋肉の局所的な現象である。

したがって一口に「筋の収縮」と言っても、生理的に正常なものではなく少し異なる現象である。
トリガーポイントにみられるような収縮現象を、英語では「contraction knot」と表現するようだ。

要するに筋線維の一部が拘縮した上に「knot」という「結び目」状態、あるいは2本以上の線維が絡み合った「結紮」状態をさしている。

触診すれば、それが帯状に認められることから「索状硬結」とも表現される。
筋線維の塊となった硬結である。
その帯状の硬結の中に過敏な圧痛部位があれば、それは活性された硬結である。

その硬結を刺激(圧縮・短縮や受動的なストレッチなど)すると、そこから離れた部位に関連痛を起こすことがある。その硬結がトリガーポイントである。
この関連痛は、患者が日常的に自覚する痛みとして再現されるものだ。

押圧すると飛び上がるような痛みがあり、これをジャンプ・サインという。
かと言って、トリガーポイント自体を肉眼で捉えることはできない。
触診刺激では局所単収縮反応や鳥肌、発汗などの交感神経反射の現象をみることがあるが、これとて必ずしもトリガーポイントの異常所見と決めつけるわけにはいかないだろう。

局所単収縮反応は鍼の刺入時にも起こるらしいし、筋膜や骨膜の刺激でも起こる。
だからトリガーポイントや筋肉における特異的な反応とは言えないのだろう。
もちろん、画像診断、病理検査、血液検査での異常所見もみられない。
だから厄介でもある。触診で確認するしかないのだ。

トリガーポイントを内包する筋筋膜が、持続的あるいは過剰に動かされることで、筋の緊張度が亢進することも誘因になる。
あるいは寒冷の急激な変化や加熱など、また心理的緊張状態など情緒的な苦痛などもきっかけになるとされている。
これらは血管収縮による反射性の筋痛である。

また、活性トリガーポイントがもたらす症状は痛みだけではない。
しびれ感、感覚鈍麻のような感覚の異常もみられる。もちろん運動は制限される。
自発痛もあり、痛みのため筋力も低下する。
視覚や前庭(三半規管)、位置感覚の乱れも生み出すと、J.G.Travellは「トリガーポイント・マニュアル」の中で述べている。

筋の中央部に出来たトリガーポイントをセントラル・トリガーポイントと呼ぶそうだが、トリガーポイントは筋の中央部にのみ存在するわけではない。
骨の付着部周辺やや筋腱移行部にもよく見られるからでである。
が、これらはセントラル・トリガーポイントによってコントロールされている、とTravellは記載している。

ということは、筋腹にできたセントラル・トリガポイントがキーとなる責任トリガーポイントであり、そこから離れた関節やその周辺の組織に関連痛を起こすというのが、あくまでも典型的なパターンなのだろう。
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by m_chiro | 2011-09-15 22:47 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(4)
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Commented at 2011-09-15 23:23
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2011-09-15 23:59 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by m_chiro at 2011-09-17 07:58
鍵コメ様、確かに似ていますね。でも、その仮説から考えると、そういう見方をしないと整合性がないからではないかと思えてきます。いろいろな捉え方が出てくるのも、これだという根拠がまだ見えないところがあるのでしょうね。
Commented by m_chiro at 2011-09-17 07:59
鍵コメ様、有難うございました。勉強になります。
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