継続が生む学問的発展を思う
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「人体解剖学」という本は、解剖学を学ぶ医学生のために書かれた本である。
著者の藤田恒太郎(1903~1964)は、新潟大学医学部教授・藤田恒夫先生のご尊父である。
「人体解剖学」第42版の序文に、そうした経緯が書かれている。
藤田恒夫先生は、父親と同じ解剖学者の道を歩まれたことになる。

「人体解剖学」の初版が出たのが1947年であるから、それから版を重ねて42版になったわけで、その間60年以上の歳月が流れた。
著者の藤田恒太郎先生は、1964年に第12版を改訂する仕事をした後に、間もなくしてお亡くなりになったのであろう。

以後は、御子息の恒夫先生が学術の進歩に併せて改訂を続けてこられたわけであるが、著者は父親である「藤田恒太郎」のままにしてある。
こうした学問的継続は素晴らしいことで、読者としても感激である。
そんなわけで、この解剖学書には特別な思いを持った。

恒太郎先生が、「人体解剖学」を書いた解剖教師としての信念を「序」に次のように述べていた。
「解剖学とて暗記する学問ではなく、理解する学問である」。
そのために「細部の学名などは思いきって省いて」、「もろもろの器官の形や組立とその機能とを一体として理解してもらう」。
それが著者の願いでもあり、強い信念であったようだ。
初版本は戦後間もない頃の制作であるから、「紙も印刷も じつに みすぼらしい」本だったらしい。当然だろう。

それが1993年の改訂第40版の頃には、記述も大幅に改められた。
CTやMRIの画像、カラーの図もだいぶ増やしたようである。
古典的な「形態学」も書き改められた。

かわりに、安保徹新潟大学教授からの「免疫学」や、橋本一成・阪大名誉教授の「脳脊髄液循環」、重井達朗先生の「自律神経の系統発生学的理解と血管の関係」など、新しい学説を取り入れたようである。

こうして初学の学生が学ぶ新しく、魅力的な解剖学書が世に出されたわけである。
こうした学問的継続はホントに素晴らしいなぁ~!と、つくづく思う。
そう思いながら、ページを捲っている。

項目ごとに簡潔にまとめられていて、とても読みやすく理解しやすい本である。
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by m_chiro | 2011-07-26 14:07 | Books | Trackback | Comments(0)
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