「痛み学」NOTE43. 筋肉はどのようにして縮むのか①
「痛み学・NOTE」は、日々の臨床で痛みと向き合っている医師や日本を代表する研究者の著作あるいはホームページを通して学んだり考えたりしたことを、私の「学習ノート」としてまとめ、書き綴るものです。

43.筋肉はどのようにして縮むのか
  ① 最初の主役はフィラメント


トリガーポイントは、どのようにして発生するのだろう。
それには、筋肉がどのようにして縮むのかを知っておく必要がありそうだ。
医学図譜集(ネッター)の「筋骨格篇Ⅰ.第3章生理学」には多くの図譜を引用して、筋肉の構造から筋収縮と弛緩について詳細に述べられている。
一読して了解できるほど易しく記述されているわけではないので、要点を簡略にまとめて理解の一助にしておきたい。

筋肉の運動には等尺性と伸長性の収縮運動があるが、ここでは筋節が収縮して求心性に短縮するメカニズムについて概略まとめておこう。
要するに、「フィラメント」というタンパク質の滑り運動のメカニズム仮説についてである。

フィラメントには細いフィラメント(アクチンF)と太いフィラメント(ミオシンF)がある。これらが筋収縮の第一の主役である。
c0113928_21312585.jpg

上の図は、「ハックスレーの骨格筋の構造(1958)」に掲載されているものである。
単体の筋肉をミクロにズームインしていて分かりやすい。
一番下には、フィラメント構造が簡略化して書かれている。
ミオシンFの中央にはM線があり、このM線に向かってフラメントの滑り運動が行われることで、筋の収縮が起こる仕組みになっている。

その絵の上には、「サルコメア」の組織図がある。
サルコメアとは、Z線で区切られた筋原線維の収縮単位(筋節)のことである。
それは、明るい帯(I帯)暗い帯(A帯)に別れている。
A帯はアクチンFとミオシンFの両方のフィラメントを含み、I帯はアクチンのみで、中央部のH帯(やや暗い帯)はミオシンFのみで構成されている。
筋の組織図に見られる明暗の帯びは、このミオシンFとアクチンFの配置によって作られているのである。

筋収縮メカニズムの「滑り説」は、1954年に「ネイチャー」誌に発表された2題の論文が最初だった。そして、この仮説が実証されるのは、1983年になって細胞生物学者が行なった実験であった。
ということは、筋の収縮メカニズムの解明は極めて近年の研究だったわけで、「筋学」は新参の学問領域でもあるのだろう。
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by m_chiro | 2011-07-06 21:43 | 痛み学NOTE | Trackback | Comments(2)
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Commented by タク at 2011-07-06 23:59 x
江橋節郎先生。

江橋節郎で検索すれば、沢山ヒットするんですが、この分野での日本人の活躍は素晴らしいと思います。

つい先日はNHKでCa++ の話について放送してました。これも日本人の研究でした。
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp351.html
Commented by m_chiro at 2011-07-07 23:14
タクさん、江橋節郎先生は日本が世界に誇れる大変有名な研究者ですね。
筋の収縮に関しても多くの発見をしています。
こうした偉大な研究者が日本から誕生しているのだから、臨床の現場でも、少しは筋肉に関心が向いてもよさそうなものですが。。。。

カルシューム振動の情報も興味深いものでした。
いつも有難うございます。
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