急性腰痛の治療―安静臥床、エクササイズ、それとも通常の活動?
"The treatment of acute low back pain--bed rest, exercises, or ordinary activity?"
(N Engl J Med. 1995 Feb 9;332(6):351-5.)
Department of Occupational Medicine, Finnish Institute of Occupational Health, Helsinki.

急性腰痛には、ベッドでの安静や腰部伸展エクササイズがよく処方されている。
果たしてどちらが有効なのか。
この相反する治療の有効性は未だに論争の的である。

そこで、フィンランドの職業病医学(Occupational Medicine)・ヘルシンキ職業病ヘルス研究所が行なった調査結果が報告されている。

この調査は、急性の非特異的腰痛患者186名を対象としている。
患者群186名を、ランダムに3群に割り当てた。
1群は2日間の安静臥床群26名、2群は腰部の伸展エクササイズ群52名、3群は対照群67名(耐えうる限りの通常の生活を行わせた日常生活群)である。

その3週間後と12週間後の結果では、対照群が安静臥床群あるいは伸展エクササイズ群よりも良好な回復を示した。痛みの持続時間、疼痛強度、腰椎屈曲、主観的測定の労働能力、Oswestry腰部障害指標において、対照群は統計学的に重要な有意差がみられたのである。

回復が最も遅かったのは、安静臥床の患者群だった。

この調査から、急性腰痛患者は耐えうる限り通常の活動をすること(通常の日常生活)が、安静臥床や伸展エクササイズを行うよりも早い回復につながる、としている。

安静して寝込むのは、何よりも回復を遅らせる、ということのようである。

これに正当な治療処方が加われば更に回復も早まるわけで、問題を難しくするからややこしくなる。
動きの所作(筋・筋膜etc)と脳との「やりとり」が、鍵を握っているのだろう。

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by m_chiro | 2011-06-29 23:24 | 痛み考 | Trackback | Comments(4)
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Commented by syaruruk at 2011-06-30 22:01
私も、急性腰痛(ぎっくり腰など)の場合、注射・薬・鍼灸何でも利用して少しでも早く動くようにしています。
なぜか、闘志がわくんですよ^^;「負けるものか!」なんて。

慢性の腰痛がきつく感じる日には、闘志はわかないのですが。
身体が勝手に判断して、反応するようにできています。急性腰痛には、動く!
動ける動作で動いているうちに、色々な刺激が入力されて、いつの間にか痛みが軽くなります。
Commented by m_chiro at 2011-07-02 01:02
sayrurukさんの、その前向きな対応がとても大事なことのように思います。

確かに、慢性痛の患者さんは痛みの波に襲われると打ちひしがれるようですね。
いい時の状態からみると、まるで別人のように凹んでしまうようです。
そんな時の何よりの薬は、心身共に良い方向に向かっているという「実感」のように思いますが、その導きがまた厄介で試行錯誤です。
実際は、患者さんの身体自身が一番闘っているのかもしれませんね。
Commented by シャルル at 2011-07-03 09:00 x
でも、その動いてきた結果が、今の状態なのだとしたら、お勧めできないということになりますが。
20年以上、同じポリシーで、動くを貫いていますが、「動けなくなったら手術」ということがなければ大丈夫なんですかね。
「早めの火消し」が大前提ですね。
Commented by m_chiro at 2011-07-04 01:46
急性痛は発症因子を取り除いて、速やかに痛みを消すこと。できる限り日常の生活をすることは、憎悪因子を増幅させないことに繋がるのでしょう。
不幸にして、慢性痛になったら一通りの方法ではいかないから集学的な手法を試みようとしているのでしょう。
大事なことは患者さんの中に「具合の良い方向」を感覚的に積み重ねていくことだと思うのですが。。。
手術が全てを解決してくれるのであれば、それも選択肢でしょうが、なかなかそうはいかないから悩ましいですね。
そういった患者さんに、治療に関わる朗報が一日も届くといいですね。
せめて私は、syarurukさんにエールを送り続けます。
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