あげくに「筋肉が融ける病気かも。。。?」
3か月ほど前から左腰下肢痛がよくならない、と40代女性の患者さんが治療にみえた。
整形外科でのレントゲン検査で腰椎椎間板が狭まっている個所が見つかったらしい。それでも「たいした問題ではない」ようだ。
あげくに「もしかしたら筋肉が溶ける病気かもしれない」と言うことになり、血液検査も行われた。

おそらく「横紋筋融解症」を疑ったものと思う。
「椎間板障害」にはじまり「筋痛」を問題視したわけだが、「MPS:筋・筋膜性疼痛症候群」は検討もされなかったのだろう。

横紋筋は主に骨格筋を構成する筋肉である。その筋肉が破壊されて、筋肉の成分であるミオグロビンが血中や尿中に入り込む。
血液生化学検査で、このミオグロビン値やCPK(クレアチンキナーゼ)値が上昇することで確定され、ミオグロビン尿というコーラのような赤褐色の尿も典型的な症候とされている。
ミオグロビンが腎臓で詰まると腎不全に陥る。そうなると、横紋筋融解症はとても厄介なことになる。原因には外傷的要因のみならず熱中症などの脱水、低カリウム血症あるいは薬剤の副作用など非外傷的要因もあげられている。

でも、結果は陰性だった。結局は「椎間板症」という診断に落ち着いた。
筋肉まで推論を進めていながら、また椎間板に戻ってきたわけである。
「椎間板が薄くなって神経を圧迫している」ために生じている下肢痛と説明されたと言う。
それでも鎮痛薬で少しは軽減するようだ。

仰臥位や腹臥位では痛まないが、側臥位になると痛む。
座位はとても辛いが、硬い椅子に浅く腰かけて座るのは比較的楽だと言う。
立位は余り気にならないが、骨盤の左右側滑動作を行わせると左大腿側方に痛みが出る。
神経の圧迫が原因であるならば、こうした動態による痛みの消失や変化が起こること自体が怪しい。

圧痛を調べると、左腸骨稜に軽度の圧痛があるが、殿筋部にはこれといった強い圧痛は見られなかった。
ところが大殿筋が腸脛靭帯に停止する部位には長い索状の硬結があり、そこの停止部を分け入るように圧迫すると足底までの関連痛が出た。

その索状硬結と大殿筋付着を分け入ってリリースした。他に、坐骨結節部の圧痛もある。
c0113928_2314235.jpg
それらをリリースすると、仰臥位から立ち上がりまでの動作痛が少し残るが、ほとんど痛まなくなった。

腰部椎間板症に関わる部位には触れていないから、大殿筋と腸脛靭帯の連結部位にみられた索状硬結とハムストリングの起始部の圧痛が主な発痛部位のように思われた。

合理的でない痛みの出方をする病態に「神経が圧迫されて起こる」という説明をされたならば、先ずは疑ってかかった方が賢明である。
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by m_chiro | 2011-03-10 23:18 | 症例 | Trackback | Comments(2)
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Commented at 2011-03-10 23:31
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by m_chiro at 2011-03-12 17:14
鍵コメ様、出来ることから気長にやっていくしかありませんね。
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