目まぐるしく変わった診断名②
②何であれMPSは混在する

前回の記事の続きです。

さて、先の患者さん、リューマチ専門病院での検査結果のコピーを携えて報告にみえた。130項目に及ぶ検査結果である。

抗体価が640倍であった。
抗核抗体は光って見えるのだが、それを40倍から倍々に薄めて行って640倍まで光って見えたということになる。倍数は大きいのだが目盛りの数では5段階目の検査まで見えたというわけだ。
ところが、他に膠原病を疑うような検査項目はすべて陰性である。CRP、RF、抗CCP抗体、CK、赤血球、白血球、血小板などなど抗体価以外は、すべての検査項目で陰性だった。とても優秀な健康体である。

結論は「膠原病」ではないこと、抗体価は生来高いのかもしれないこと、抗体価の数値は忘れて下さい、ということだったそうである。やれやれ遠回りをしたものだが、本人の中で納得できればそれでよい。

歩行は20mほど歩くと足も挙げられなくなるという。
立位も続けられないので、料理もできない。
膝も90度までしか曲げられない。跛行する。
家の中では杖を使っている。階段は昇れない。
筋トレを指導されたが、1動作を5~6回するだけで動かすのが辛くなる。
左の四頭筋は委縮している。X-rayでは大腿骨の委縮もあると言われている。
このまま歩けなくなって車椅子生活になるのだろうかと不安でたまらないと言う。
足や身体が冷える。夜眠れないので安定剤を服用している。

こんな症状を訴えているが、圧痛点を探して見ると、こんな委縮した筋肉ではあるが随所にある。
四頭筋には膝内側に跳ぶTPもある。それを図にしてみた。
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c0113928_2315379.jpg
治療としては、重力場における神経反射を調整してから圧痛点をリリースした。
もう一度歩き方を再学習させて圧痛の出方をみる。
再びリリースして、歩行指導を反復する。
立ち位置での重心の落とし方など併せて指導すると、治療室での歩き方に変化がみられるようになった。
跛行のブレが少なくなって、患者さん自身も随分楽に動けると言う。


そこで治療計画を話し合った。

筋トレをやめる。
何か運動しないと歩けなくなると考えない。
膠原病や半月板のために痛むのだと考えない。
先ずは日常生活を取り戻すことに専念する。
痛みが出たら筋・筋膜の圧痛を自分で処理して、また動く。

圧痛には「テニス・ボール」や「ゴルフ・ボール」を使ってほぐす。
筋膜のブロックした方向を教えて、膜リリースには「サランラップのシンになっている筒」を使わせた。
歩行を見直しながら、歩く範囲も広げて行く。
オーバー・ユースになると、また筋の疲労が起こって、きっと痛みだすだろうが心配しないで筋・筋膜に対応する。

それを続けていったら跛行しなくなってきた。ご飯の支度も、1~2度休憩を取りながら出来るようになった。
途中から、長谷川智也先生開発の「ソマセゾン」「ソマセプト」を圧痛点に使わせてみた。シリコン製の刺激突起なので安全で衛生的である。セルフケアとしての支援ツールとして利用した。

患者さん自身も簡単に使えるし、とても良く変化するのでお気に入りになったようだ。歩くときは「ソマシート」を膝下に巻かせて歩かせた。これも冷えに効果的だったし、夜も熟睡できるようになったと喜ばれた(最も運動量も多くなってきたので、何の効果か一概には言えないが。。。。)。
いずれにしろ、変化し始めたことは喜ばしいことだった。

今ではスーパーに買い物にも出かけるようになった。辛くなったら圧痛点を探して、また動けるようになった。立っている時間も長くなってきた。

膝専門医の診察日だったので1カ月ぶりに出向いたら、歩き方を見て先生から「随分良くなったねぇ~」と言われたようだ。私にも嬉しい結果である。

筋や骨の委縮がある。「CRPS」の診断の正否は別にしても、何であれMPS(筋筋膜疼痛症候群)は混在する。
その筋・筋膜の痛みに対応しながら動きの範囲を広げることで、生活ががらりと変わる。
この変化が脳にフィードバックされて患者さんの病態を快方に導くと信じている。

病態をややこしくして、患者さんを立ち上がれないほど苦しめるよりは、今生じている筋・筋膜の痛みに対応させる方がずっと結果が良いのである。
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by m_chiro | 2011-02-24 23:38 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
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