今年ハマったエンターテイメント
今年ハマったエンターテイメントは,
1に「鬼平」、2に「鬼平」、3に「ミレニアム」だった。 鬼平とは、言わずと知れた池波正太郎の「鬼平犯科帳」。 文庫本で読み続けた。文庫本の表紙は日本画の装丁で、これがまた各巻とも味わい深い。 長谷川平蔵の魅力はもとより、登場する人物がそれぞれ魅力的である。 盗人の人物像といい、いつも鬼平の手足となって働く密偵たち、同心たち、それぞれがとても味わい深く書かれている。 大川(今の隅田川)を巡るエリアが舞台で、大川の北側一帯には怪しいものたちが蠢いていたのだろう。 また、江戸の食文化も語られていて、その味わいにも蘊蓄が語られる。 そんなうまい物を食べながら、長谷川平蔵がふとつぶやく。 うまい物を食べて、何事もなく、いつもと変わらぬ一日が終わることが無上の幸せだ、と。確かそんなことをしみじみと言う下りを読んで、なるほどそうだなぁ~、と思った。 長谷川平蔵は実在の人物らしい。 それでもこの鬼平を魅力的な人物に書き上げたのは、池波正太郎自身の生き様とダブっているのだろうかと感じる。 「鬼平犯科帳」は単なる捕物帳とは違って、盗人や同心、密偵が主人公になっていたり、その人間模様がとても面白かった。 例えば、一度も手柄をたてたことのない同心が、犯人をでっちあげて自白を取ることをやる。いつの世も人間のやることは同じようなことの繰り返しだと思う(思わせる)のだが、その責任の取り方にも命のやり取りがあり、厳しさと潔さがある。 この小説がTVドラマや映画になり、今度はそれをDVDで全巻観た。 脚本には原作と違った仕掛けがあり、違った雰囲気のドラマを楽しんだ。 映像の作りも本格的なセットで、しかも役者揃い。とても楽しめるドラマだった。 何と言っても、鬼平役の中村吉右衛門はハマり役。 その動作振る舞い、目の動きまで見事な役者ぶりにみえた。 酒も実にうまそうに飲む。見ていて、こちらもゴクリと喉が鳴る。 すっかり吉右衛門フアンになってしまった。 夏場までは、鬼平一色にハマっていたのである。 その後は、「ミレニアム」を読んだ。 スウエーデンの推理小説である。上下巻の3部作で全6巻の大作だ。 めまぐるしく変わる展開に、引き込まれるように一気に読んだ。 先日の「日本カイロプラクティックセミナー」へ出かけた道中に、最後の巻を読み終えた。 世界の40カ国で2600万部を売り上げた大ベストセラーである。 噂に違わず、久々に抜群に面白い推理小説を読んだ。 作者のステーグ・ラーソンは反ファシズムの雑誌や政治雑誌の編集に携わり、2002年からミレニアムの執筆に取り組んだ。 そして2004年に心筋梗塞で突然亡くなってしまった。 この本の大成功を見ずに亡くなるという作者のミステリーつきである。 第1部は「ドラゴンタトゥの女」、第2部「火と戯れる女」、第3部「眠れる女と狂卓の騎士」のタイトルで、この女とはリスベット・サランデルという背中にドラゴンタトゥを入れ、鼻ピアスをした天才ハッカーの調査員である。 痩せっぽちの小さな女で、とても成人の女性には見えない容姿だが、これがすごい女性なのだ。アスベルガー症候群を疑わせる女性で画像記憶力が抜群、なぜか数学などの学術書を愛読している。社会とは隔絶して暮らす孤高の女でもある。 第2部からは、このリスベットを巻き込んだ事件になる。リスベットの生い立ちや過去に絡んで銃撃され、警察小説調になったかと思うと、スパイ事件、国を巻き込んだ政治事件へとめまぐるしく事件が絡み、最後は法廷劇から最後の決闘と息つく暇もなく引き込まれる。 法廷劇での弁護士と検事の駆け引き、サランデルと悪漢どもとの闘いにも興奮するほどに引きつけられた。翻訳も読みやすかった。 映画が完成したそうだが、この辺では上映されていない。DVDのリリースが待ち遠しい!
by m_chiro
| 2010-10-27 01:43
| 雑記
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