「椎間板ヘルニアが神経に突き刺さっている」?
30歳の男性。7月半ばから左の腰下肢痛と痺れで仕事や生活に支障がある。
整形外科を受診し、MRIで椎間板ヘルニアと診断された。
痛み初めて2カ月過ぎて、治療にみえた

何でも「ヘルニアが神経に突き刺さっているから痛い」のだと、整形外科医に説明されたらしい.
う~ん、痛そうだ!!
結局は、「鎮痛薬と坐薬で経過を見ましょう」ということになった。
それでも痛みは消えない。
身体も傾いてきた。仕事も辛い。夜間も痛むようになった。

牽引と物療をして、鎮痛薬を飲んでいるが、薬は余り効かないのでやめている。
「酒を4合飲むと何とか眠れる」らしく、薬よりも酒が効くのだそうだ。

動力学テストを行うと骨盤の「左側滑」と「伸展」、「右側屈伸展」で下肢症状が消失する。
神経など損傷されていない証拠である。
こうした寛解因子が見つかるケースは予後も良い。
「Dysafferentation:求心性神経入力不全」の原理に従って治療すればよいからである。
即ち、痛み刺激を抑えて動き刺激を入力する。

このケースでは動力学テストの結果から、左側滑と右側屈伸展の組み合わせ運動で、脊柱仙骨の動きで最も動きの制限された部位をターゲットにして、そこに動き刺激を送ることになる。
この動き刺激で下肢痛が再現されるようなことがあれば、再セッティングしなければならない。
痛み刺激を抑える動きの刺激を送らなければ意味がないからである。

脳への動き刺激入力をする前に神経系の統合不全を調整するが、それは頭位と眼球運動、緊張性頚反射、呼吸反射、歩行反射、足関節の固有受容器からの信号系などのプログラムの作動状況を確認する作業でもある。

治療後は脊柱の湾曲もほぼ正常になり、下肢痛もなく歩行できるようになった。

「ヘルニアが神経に突き刺さっている」という説明をして鎮痛薬で経過観察というのでは、治療の戦略・戦術の道筋がみえないばかりか、患者の不安を煽るだけだろう。

2回目の治療にみえた時には、痺れも消えて臀部に多少の痛みが残っている程度になった。


痛みの説明をすると、「僕はヘルニアではないんですか?」と聞くので、「MRIでヘルニアが見つかったわけだから、ヘルニアはあっても、この痛みとは関係がない」のだと強調しておいた。

1週間後の今日、3度目の治療にみえた。表情も明るくなり若者らしい動きをしていた。
寛解因子が明瞭な痛みは経過も良好である。その動きを在宅エクササイズとしても使えるからセルフケアにもなる。
寝酒もいらなくなったようだ。
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by m_chiro | 2010-09-01 09:37 | 症例 | Trackback | Comments(2)
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Commented by アダピー・タケウマ at 2010-09-02 14:30 x
お世話になります。
「痛み刺激を抑えて、動き刺激を入れる」というのは、痛みの消失する方向を見つけて、その方向の中で一番動きの制限のある部位に刺激を入れていくという解釈でよいのでしょうか。
今回のケースでは、左腰仙部辺りの可動制限があったのでしょうか。
Commented by m_chiro at 2010-09-06 10:21
アダピー先生、昨晩、福岡学会から帰ってきました。
とても、いい学会でしたよ。さて、お返事ですが、可動が制限されるのは関節に限らないわけで、視野を広げて身体の振る舞いとしてみると、筋・筋膜の連動に注目した方が理解しやすいように思います。その時に関節運動の制限された部位が見つかれば、そこを支点に動き刺激を送ると関節、筋筋膜両者に効率よく「動き刺激」を送れます。その時の指標として「痛み」入力が消失するものであることが重要ですが、実は痛みを感じる方向でも効果的なケースがあります。例えば、可動が制限されている方向で筋・筋膜の緊張によって制限されていたりするのであれば、この痛みは、どちらかと言うと心地よい痛みで、その方向に動かされることで次第に痛みが寛解するケースです。
今回のケースでは、胸腰移行部が最も広範囲に制限されていました。もちろん、右の腰仙関節に可動制限も顕著でした。L5の右前方+左側方への動き制限です。左股関節は内転・内旋運動の制限です。この動きに関与する筋群の問題にも対応しました。でも、セルフケアとしては身体の振る舞いに注目しての連動運動にして、細部の可動にはこだわりません。
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