根性痛の根拠とする実験の信頼度は?③
動物実験によると、炎症による異所性発火の痛みに有効な薬物があるとされているようである。
「根性痛の根拠とする実験の信頼度は?①」で紹介した熱田論文では、発火現象がみられた神経のサンプルにメチコバールを投与すると異所性発火を抑制できるとして、「根性痛の原因となる異所性発火を抑制することが出来れば、椎間板を摘出するような手術的治療を行わなくても症状を改善できる可能性がある」と論文を締めくくっている。データ⑤がその実験結果である。
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また、菊地教授は異所性発火が、「抗炎症薬(インドメタシン大量投与)で抑制されること、またヘルパーT細胞の活性を抑制する(サイクロスポリン投与)ことでも抑制される」と述べている。

それならば、椎間板ヘルニアによる異所性発火にそうした薬物を使えばいいだろうと思うのだが、臨床の現場では最後は手術頼みが定番のようである。
つまり、実験通りには事が運ばないからなのだろう。

それでも、手術で痛みが劇的に良くなったという話もよく聞く。逆に悪化したり、変化しない例もよく聞かれる。

では、治らなかったケースは? 
異所性発火によるものではなかったのだろうか。
それとも可塑性が出来あがった病態なのだろうか。
あるいは全く別の病態なのだろうか。
それとも手術で不都合が生じたのだろうか。

愛媛大学医学部・麻酔科・長櫓巧教授の記述に、以下の解説がある。

局所麻酔薬の全身投与は、神経伝導を遮断することなく選択的に異所性興奮を抑制することが動物実験で示されている。これは、ヒトの神経障害性の痛みが、神経伝導を抑制しない(知覚障害を起こさない)量の局所麻酔薬の全身投与で鎮痛することができることと一致する。(「痛みの概念が変わった」4.異所性興奮,2008)

と言うことは、椎間板ヘルニアの突出部を摘出するか否かに関わらず、局所麻酔薬の全身投与で多くの痛みを鎮痛出来るのだろう。
ヘルニアが根性痛に関与するという仮説が、ますます怪しく思えてくる。
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by m_chiro | 2010-08-25 17:24 | 痛み考 | Trackback(1) | Comments(0)
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