膜の話④ ニモの考え「異常な受容は異常な動きを生む」
多くのカイロプラクターが、伝統的な手法である「脊椎ミスアライメント」の矯正に主力を注いできた。身体的不調の根源的な原因を分節レベルに求めてきたからである。
今でも、この概念は大筋で変わっていない。

ところが、20世紀半ば頃に活躍したニモというカイロプラクターは、脊椎ミスアライメントを根源的な原因とは考えなかった。
そもそも、なぜ関節面に位置的なずれが起こるのか?
それは、決して骨が勝手にその位置を変えたのではないからで、「骨がそこにあるのは筋と靭帯がそこに置いたからである」と主張し続けたのである。

骨を制御しているのは骨自身ではない。その骨に関わる筋を制御する網様体賦活系が担っている。したがって、網様体賦活系(RAS)が受容器からの異常な入力に支配され続けている結果だと、ニモは考えた。

「異常な神経学的入力は、異常な出力を生む」ことになる。
重要なことは、出力にあるのではなく異常な入力にあると考えたニモは、身体の歪みを分節性の問題に求めるべきではなく、網様体への異常な入力を解除する方法を提案したのだった。

D.D.パーマーは、この根源的な問題を「神経のトーン」に求めた。神経の緊張の過不足こそ根源的な問題だとした。その意味では、D.D.とニモの考えは似ている。
違いは、DDが脊椎レベルへの刺激で治療したのに対し、ニモは末梢の受容器の刺激にこだわった。

しかし、DDが目指したものは分節レベルの調整にあったのではなかった。如何に脳に対して改善する刺激を送るか、その刺激入力のポイントを椎骨という神経経路の中間に置いたのだろう。だからこそ、DDの最初の患者であるリラードの聴力を回復させることができたのだろう。

視点を変えると治療法の目的が全く変わってしまう。ここは押さえどころであり、留意しておきたいところだろう。

ニモの言動は「カイロプラクティック批判」と取られ、そのテクニックは「カイロプラクティック治療ではない」とされ、反カイロプラクティックの矢面に立たされた。
しかし、ニモの目指したものは、D.D.の主張した「神経の過不足」に焦点を当てた本来のカイロの概念を踏襲したものと思われる。それでも、ニモの概念はカイロプラクティックの主流からは外されてきたのである。

ニモは次の言葉を残している。

「カイロプラクティックは、神経系の機能の正常な全体性を妨害する人体内の異常な病巣を突き止め除去することに関わる科学であり技術である」。

「これは反射システムではなく直接の働きかけであり、いわゆる反射をすべて完全に一掃するものである」。
(「カイロプラクティック・テクニック・システム」より)
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by m_chiro | 2010-06-29 00:29 | 膜の話 | Trackback | Comments(0)
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