「脚の痛みが背中へ来た」.???
4日前に、MPS(筋・筋膜性疼痛症候群)と思われる左下肢痛で、「歩くのが辛い」と言ってみえた婦人がいた。
治療後に歩行を確認させると、全然問題なく歩けると喜んで帰られた。

今朝、その婦人が「何とか診てもらえないか」と電話があり、夕方においでいただいた。
とても辛そうで、そのうえに運転も不安で、御主人が連れてみえた。

脚の痛みが続いているのかと思ったら、「あれから脚はまったく大丈夫だったが、脚の痛みが今度は背中へ来た」と言う。

要領の得ない話をまとめると、治療にみえた2日後から背中の胸郭下部が特に苦しくなって、今朝は左の肩背部が痛んで首も回らないのだそうだ。
手の指も痛くなった、と言う。
見ると「ヘバーデン結節」がある。今まで痛んだこともなく、リューマチ検査で陽性になったこともない。

何も思い当たることもない。特に無理もしていない。
そう言いながら、「脚の痛みが背中へ来た」と繰り返す。

話を聞いていても要領が得ないので、触診しようとして首に触れたら「アレッ!」と感じた。
「ちょっと熱がある?」。
「いや、ないと思う」。
計ってみたら37.8度ある。

風邪やインフルエンザなどの熱による全身性感染症でも、よく筋肉痛が起こる。
マクロファージがウイルスを取り込んで、インターロイキンという内因性の発痛物質を出すことが知られている。
それが一方では視床下部に、もう一方では筋肉に運ばれて、プロスタグランジンE2の産生を促し発熱する。
このプロスタグランジンE2の作用で酵素が細胞外に遊離され、筋肉のタンパク質を分解する時に、発痛物質が作られて筋肉痛が起こるのである。
ちょうど熱の出始めと重なって、筋肉痛が起きたのだろう。
食欲はどうかと聞いたら、味覚も感じなくなって美味しくない、と言う。

かかりつけの内科医について訪ねると、私のところから20~30分かかりそうな地域だった。
今からでも診察時間に間に合うだろう。
この時間帯だから、更に熱が上がるにちがいない。
そんなわけで家庭医のところに向かわせた。

その後、御主人からの電話で「今帰宅してお薬を飲んで寝ました」と報告があった。

治療は、一期一会で向かわないとの教訓だった。
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by m_chiro | 2010-06-12 01:48 | 症例 | Trackback | Comments(0)
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