「トリガー・ポイント」と「侵害生成点」
トリガー・ポイント(TP)という新しい概念を提唱したのはJ.トラベル医師(Janet G. Travell, M.D.;1901-1997)である。
この新しい概念と用語が発表されたのは1952年とされている。
彼女は、筋膜痛と関連痛の研究に40年以上にわたる年月を費やし、この間40編以上の論文を医学誌に発表した。
当時、ケネディ大統領は自らの政治生命を脅かすほどの痛みや病気を抱えていて、トラベル医師が大統領の主治医として活躍した話はあまりにも有名である。

このトラベル医師の発表に先立つ1940年代後半に、カイロプラクターのR.ニモ(Raymond Nimmo,D.C.)がトリガーポイントと同様の概念を「侵害生成点;Noxious Generative Points(NGP)」という用語で提唱していた。

TPとNGPは同様の概念である。
時期を同じくして、医師とカイロプラクターという異なる領域の二人が、痛みと鎮痛に関わるポイントを捉えていたことになる。

では、なぜ「トリガー・ポイント(TP)」が普遍的な用語となったのか。
背景には、ニモD.C.の英断があったとされている。
トラベル医師がトリガー・ポイント(TP)について発表した論文を読んだニモD.C.は、同じ概念を違った領域から主張し続けることは無用の混乱を招きかねないと考え、「侵害生成点(NGP)」の用語を廃棄したとされている。
このことも一因となって、「トリガー・ポイント(TP)」は普遍的な用語となり、NGPは先に発表されていたにもかかわらず、歴史の片隅に埋もれることとなった。

トリガーという言葉は医学用語としては安易に過ぎるきらいがある。
「侵害生成点」は神経系のもたらす意義を良く表現しているものと思われるが、トリガーという安易な呼称が普及したことで、印象的には本来の神経学的・生理学的な意義性を希薄なものにしたのかもしれない。

つづく
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by m_chiro | 2010-04-28 00:57 | 膜の話 | Trackback | Comments(0)
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