脳が勘違いする痛み
歯痛の謎:「脳は場所を特定できない」2010年4月22日
http://wiredvision.jp/news/201004/2010042222.html


上の記事は、ドイツのエアランゲン=ニュールンベルグ大学のClemens Forster教授らが行った歯の関連痛に関する研究が「PAIN」誌に掲載されたことを紹介している。
それによると、歯の痛みの原因となる刺激の局在認識は随分曖昧のようだ。とても面白い。
記事を引用すると、

実験では、被験者の左上の犬歯と左下の犬歯の一方に、電気パルスが送り込まれた。この電気刺激により、氷の塊をかじった感覚と似た痛みが発生する。 被験者による痛みの評価が約60%になるように、電気刺激はその都度、調整された(想像できる最大の痛みが100%とされた)。
別々の歯からくる痛みに対する脳の反応を調べるため、研究チームは機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用い、上の歯と下の歯に刺激を送った場合の、 脳の活動の変化をモニターした。
「上の歯の痛み」と「下の歯の痛み」は、三叉神経のうち明確に区別される2枝からそれぞれ伝わる信号だ。上顎からの痛みの信号は第2枝(上顎神経 V2)が、下顎の痛みの信号は第3枝(下顎神経V3)が伝達する[文末に図を掲載]。しかし実験によると、脳の多くの領域が、この2つに対して同じような 反応を示した。
具体的には、大脳皮質内の体性感覚皮質、島皮質、帯状皮質といった領域が、上下どちらの歯痛に対しても同様の振る舞いをみせることが確認された。こ れらの領域は、痛みの投射のシステムで重要な役割を果たすことが知られているが、上下の歯の痛みに対して、いずれも大きな違いを示さなかった。


上顎と下顎の区別は不明瞭なこともある、とされているのは、こうした投射痛の現象を示しているのだろうか。
それでも左右の識別能力はしっかり維持されているわけだから、患部の痛みと健側を間違えることはないのだろう。
でも脳は、「上の歯の痛み」と「下の歯の痛み」を非常に似通って感じていることになる。
機能的磁気共鳴画像法(fMRI)による調査である。

これだから、関連痛(Referred Pain)には悩まされる。
ある部位の痛みを異なる部位の痛みと脳が勘違いをする、ということが実際に存在するわけだから、ややこしい話である。
[PR]
by m_chiro | 2010-04-24 02:10 | 痛み考 | Trackback(1) | Comments(0)
トラックバックURL : http://mchiro.exblog.jp/tb/14235845
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from 漢(男)のブログ at 2010-04-24 14:25
タイトル : 関連痛
脳が勘違いする痛み 私の場合、左の奥歯の治療を終了してからも、時折奥歯が痛く感じる時があります。 その時は、自分で左の項頸部に鍼を打って響きを得るようにします。 TP関連痛のように歯に響くと言うような物ではありませんが、鍼を打った後は重だるくなりますが、不思議に次の日には歯痛は消えています。 今日も腰が痛いと来院された50歳代の女性の患者さん、痛みを誘発する動作では後屈のみで痛みが再現されます。 ある筋肉にジャンプサインがありました。 等尺性収縮を利用して治療したところ、主訴は...... more
<< 「トリガー・ポイント」と「侵害... やっと桜が7分咲き(鶴岡公園の... >>



守屋カイロプラクティック・オフィスのブログです
外部リンク
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
最新のコメント
最新のトラックバック
ほとんどがMPSなんだけ..
from 心療整形外科
月経が再開した
from 心療整形外科
TPは痛みの現場ですらな..
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
脊椎麻酔後頭痛について
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
起立性頭痛
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
「5%の中に本当の椎間板..
from 心療整形外科
髄液循環系と揺らしメモ
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
医師はユニコーン(架空の..
from 心療整形外科
末梢神経の周膜と上膜にも..
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
また勉強になりました。
from 漢のブログ
ライフログ
検索