身体という宇宙② からだは交響楽である 3.旋律
      THE BODY AS COSMOS
         身体という宇宙②
 
     からだは交響楽である。


3.旋律 The Melody of the Body

c0113928_22541223.jpg 旋律=メロディーとは、色々な高さの音が連続しているものであり、ギリシャ語のメローディア(歌う)に由来しますが、もともとはメロス(歌)と詩(オード)との合成で、詩を歌うという意味であるそうです。

最古の旋律パターンは、最高音から最低音までの広い音域を上下するものと、ほとんど二つほどの音域のせまいものに大別されるようですが、ヨーロッパにおいては、それぞれの時代の音楽様式と密接に結びつき、声楽旋律と器楽旋律とに分けられます。そして、1600年以前を声楽旋律優位の時代、以降を器楽旋律優位の時代とみるようです。

さて、旋律の変遷史とは関係のない話ですが、医学においても一種の流行というものがあります。例えば、デカルトによれば、人体は一種の「自動機械」でありました。その意味で、身体は医学の対象になるが、理性を持った人間は機械としての人体とは全く別のものである。という有名な心身二元論を1637年に「方法序説」の中で発表したのです。近代科学は、このデカルト的パラダイムに支えられ発展してきたと言えるでしょう。

こうした身体を部分に分割して可能な限り細分化しながら、身体全体を構成するメカニズムを解明する方法論は、医学の進歩に大きく貢献しました。病気になったら、悪くなった部分を治せば解明できるという基本的な考え方が今日の医療を支えているのはそのためとも思われます。一方、「心身一如」といった東洋の生命観などは、生命の本質を総括的に捉えようとする考え方であります。この論争も、医学の源流をたどると、古代ギリシャ時代にさかのぼります。

ヒポクラテスを中心にコス派と呼ばれた人々は、病気を持った病人を診ました。これに対立したのがクニドス派の人々です。彼らは病気や症状を病型分類し、患っている細分化された部分を治療していました。

部分にとらわれると全体が見えなくなる、全体をとらえると部分を見失う。両者の欠点を補完する立場で、今日のカイ ロプラクティックは、コス・クニドス両派の影響を受けているものの、その理論的源流はコス派の全体論(ホリズム)が根底にあると言えましょう。

そもそも生命は、全体として常に最適な恒常性を維持しようと働いており、D・D・パーマーは、ヒポクラテスの考えを踏襲して、こう推論しています。「人体はそれだけで完全な生物体であり、その置かれた環境の中で、それ自身の中に人体を生理学的平衡状態(恒常性)に保つためにあらゆる必要条件を生まれながらにして持っている。そうした状態に保たれている時には、本来あるべき姿として健康は維持されている」と。

この概念は近代に入って一層発展していきました。つまり、人間を取り巻く外部環境は常に変化していますが、その内部環境は常に一定に保ち、調和されるように動くとする、アメリカの生理学者W・B・キャノンが説いた「ホメオスタシス」理論であります。このホメオスタシスが正常に維持されていることによって、臓器や各組識が一つの自律的な統一性を持って機能を全うすることができるという主張です。

例えば、旋律からリズムを取り去ってしまうと、無味乾燥な音のかたまりにしかすぎないのですが、何の変哲もない分散和音にリズムを与えると、とたんに生き生きとしたメロディーになるように、音楽もやはり一つの自律的な統一性によって成立しているのです。

こうした「生体の自律性」と言うべき特徴を、小宇宙としての身体は持っています。その意味でも、人間の身体は、色々な器官や組織という部分が集積されてできていますが、それらは決して部分として独立した存在ではなく、相互に密接に関連した有機体としての存在なのです。部分はそれ自体、独立した部分でありながらも、相互の関連性を持った統一体としての全体なのです。この複雑な関連性と調和のリズムを一定に保つのが神経系であり、カイロプラクティックの学技は今後もその究明に貢献していくことでしょう。
(転載を禁じます)
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by m_chiro | 2010-04-16 22:58 | カイロプラクティック | Trackback | Comments(0)
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