身体という宇宙① 2.カイロの科学性
           身体という宇宙①

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2. カイロの科学性

民間治療として世に出たカイロプラクティックは、その驚異的な普及に呼応するように、当然の如く、医学界の格好の批判 の的となりました。その多くは、「カイロプラクティック・アジャスメントはすべての病気を治す(Cure all)」という世評に対して、それを実証する科学的根拠がないという点に向けられていました。「イネイトが治す」という説明では、医学という分野であま りにも説得力を欠いていたのです。

しかし、インチキ治療という非難や、カイロプラクターを締め出そうとするアメリカ医師会の画策にも屈せず、彼らはそれ らと闘い続け、ついには今日の地位を勝ち取ったのです。そのカイロプラクターを勇気づけたものは、非難の声にもまして、「カイロプラクティックのおかげで 病気が治った」という人の数が、うなぎ上りに増えていったことでした。同時に、この事実を裏付ける科学的研究にも、心血を注ぐことを忘れなかったのです。 これはカイロプラクティックを支持する声にもまして重要なことでした。

デカルト以来の心身二元論に基づく現代科学の手法は、生命を全体として捉えようとするカイロプラクティックにとって、 適切な手法とは言えません。そもそも人間を対象とした科学は、すべて「未科学」の状態であり、「事実」を冷静に見つめながら、そこに存在する因果関係を追 求していく姿勢の中にも、科学は存在するのです。その意味では、カイロプラクティックの科学は、「理論から事実」ではなく、「事実から理論」の証明であり ました。

このカイロプラクティックの科学の果敢に取り組み、カイロの学問的レベルの向上に貢献したのが、J・ジェンシーやJ・ R・バーナーらでした。彼らは、新しい神経生理学の知識やベーシックサイエンスから、カイロプラクティックの理論的根拠を求めていきました。 それまでの「椎骨のずれが神経を圧迫する」といったカイロプラクティックの根拠の不充分さを指摘した彼らは、圧迫のないサブラクセーション概念を打ち出し ています。

こうして関節障害に注目した一方、「全体であると同時に個である」という生物学的認識論(ホロン的概念)にカイロプラ クティックの理論的根拠を求めていきました。それは、医学医療の盲点とも言える分野に目を向けた新しい見方だったのです。

カイロプラクティックは、あらゆる治療法と同様、限定的な治療法であることは否めません。しかし、その特色は、著しい効果を発揮し、健康と疾病の関係に新 たな視点を提起した治療学ということでもあります。

カイロプラクティックの基本的論原理を簡単に表現すると、生物学的な根拠に立脚しています。言い換えれば、カイロプラクティックは、人間が二足歩行である 故に生み出された必然の原理と言えます。人間は直立することで自由になった手で道具を使うことを覚え、物を捕まえたり、つくったりすることで脳を発達さ せ、考えることを可能にしましたが、その反面、重力に抗した直立姿勢からくる宿命的な欠陥は意外に知られておりません。

実際、脊椎を中心とする人体力学の機能的研究は、最も遅れている分野と言えましょう。人体特有のS字カーブの脊柱は完 成美のように見えますが、南カリフォルニア州大学のR・カリエ教授は「人間の背骨は決して完成されたものではなく、いまだに重力に対応する進化の過程であ る」と言い、カークスビル大学のH・ライト教授は、「今日われわれが直面する多くの健康上の問題は、直立姿勢に対する不充分な適応からもたらされている」 と述べています。

この分野で最も進んだ研究と臨床実績を積んでいる、ナショナル・カイロプラクティック大学のJ・ジェンシー教授は、 「人類が直立姿勢であるという事実は、骨格・筋肉系と神経系との相関関係を非常にユニークなものにしており、カイロプラクティックでは特にこの点を重視し ている」と語っています。

では、カイロプラクティックの理論的根拠になっている、直立姿勢が人体に及ぼす影響について考えてみましょう。

人間と他の動物を比較すると、構造的には非常に類似点が多いにもかかわらず、二足動物と四足動物ではタテとヨ コの関係にあり、各部の働き(機能)にはかなりの差があることに気づきます。人間の構造は、本来バランスのとれた四本柱(四足)の設計から、重力に逆らう 二本柱(二足)となって、いままでなかった余分な働きや負担が、骨格・筋肉・靭帯等に強いられることになったのです。

特に腰部には、構造上最も大きなストレスがかかり、前かがみになって何かを持ち上げる時に感じる不安感と痛みは、ほと んどの人が経験しています。

直立姿勢では、骨盤は、新たに生殖器や内臓諸器官を支える床の役目を強いられてお皿状に変わり、しかも運動性を維持す るため、仙骨は前傾斜となって産道を狭め、難産の原因になっているのです。幼児期の未骨化な腰部、骨盤への加重は、成人期において多くの変形をもたらして います。

カイロプラクティックは、このような直立姿勢からくる構造的ストレスと、派生した機能不全を研究する学技であります。 とりわけ直立姿勢からくる骨格・筋肉系・特に脊椎と骨盤における構造的な「ずれ」が神経の伝動障害となり、その支配する組織や器官に機能障害を起こしま す。

疾病は、単に心臓・肝臓・胃などの組織や器官にみられる形態(器質)的変化だけでなく、それら組織や器官による動き (機能)によって引き起こされるのです。

このような機能異常は、身体のコントロール・メカニズムである神経系による影響が非常に大きいと言われます。ソ連の生 理学者スぺランキーは、疾病の発生、経路、病理変化を決定する因子として、神経系が非常に重要な役割を果していることを、実験によって証明しています。
(転載を禁じます)
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by m_chiro | 2010-04-10 00:07 | カイロプラクティック | Trackback | Comments(0)
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