身体という宇宙① 1.カイロの生命観
c0113928_2124431.jpg1991年に刊行した「re-bone ―等身大のカイロプラクティック ―」より、順次ここに掲載したいと思います。「re-bone」を書いたのは、もう20年も前のことでした。10年は色あせない本にしようと意気込みまし たが、早20年です。色あせた部分は差し引いてお読みください。(転載を禁じます)

今回の記事は、
"THE BODY AS COSMOS"「身体という宇宙」です。




        THE BODY AS COSMOS
かつては、人体と星辰とを結びつけた。ここでは、大宇宙と小宇宙 との間に、構造的な対応がある。自然科学の進展と共に、両者は確実に無関係なものとして、分離していく。しかし、両者は、相変わらず「脳で」結びついてい るのである。そもそも両者を結びつけたのも脳である、切り離したのも脳である。〈ロバート・フラッドによる 17世紀〉

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          身体という宇宙①

大宇宙に対すると言われるほど、複雑で神秘に満ち満ちた人 間の身体。しかし、ある根本的な支配法則がなければ、これほど多種多様な機能をバランスよく発揮できるはずがありません。その謎に迫る。―カイロプラク ティックは、そこに新たな生命観を生み出したのです。また、複雑な数式や科学式で表現されるハード科学のみを「科学的」とみる風潮がありますが、本来は、 ペニシリンや万有引力などのように、すべての科学の出発点は偶然の産物でした。ただし、数式化しにいく分野もあり、「人間の科学」は、その筆頭と言えるで しょう。カイロプラクティックは、その「未科学」に挑んでいるのです。


1. カイロの生命観

カイロプラクティックの生命観は、古代ギリシャや インド、東洋などの生命観に共通した考え方を持っています。それは、現代の科学から見れば、神秘的な生命思考と言えるかもしれません。

「医学の父」と呼ばれたヒポクラテスは、野生動物の本能的治療を持ち出すまでもなく、どんな病気でも、病人を回復させ る一番の力は「自然治癒力(Vis medicartirxnature)」であると考えていました。したがって、医者の役目は、このエネルギーが正しく流れるように障害を取り除くか、少な くすることである、と説いています。東洋医学にも「気」という概念があり、このエネルギーが身体中を循環して、生体を維持しているという考えに基づいてい るのです。

同様に、伝統的なカイロプラクティックの教えも、D・D・パーマーの説いた「イネイト・インテリジェンス(先 天的知能)という生体エネルギーの仮説を発展させていきました。パーマーは、「このイネイト・インテリジェンスが神経系を通して、身体中くまなく伝達され ている」と考えてたのです。そして、病気はイネイトと呼んだこの生体エネルギーの流れが妨げられた時に生じると考え、カイロプラクティック治療によって、 その障害を取り除くことができると説いたのです。

現代医学の知識をもって、このカイロプラクティックの生命観や治療の原理を理解しようとするならば、まず「イネイト」 の存在を理解することから始めなければ充分とは言えないでしょう。しかし、イネイトの存在を現代科学で実証することは難しく、実際、カイロプラクターの間 でさえ、イネイトの原理については統一されていないのです。中には、宗教的な観念で説明する意見もあり、当時、カイロプラクティックが医学の世界に容認さ れなかった理由の一つが、このイネイトにまつわる生命論にあったのも事実です。

それも今では、新たな知識による今日的解釈が試みられています。イネイトは、正しい身体の内的外的環境を統御し、身体 を健康状態に保つ力であり、メカニズムである。という理解であります。しかし、この問題の真の解決は、後世の研究に委ねることになるでしょう。

イネイトという超科学の生命観を、ひとまず置いて、カイロプラクティックは、神経生理学の知識に基づいた新たな生命観 を構築していきました。それは、神経系が身体の主要な制御組織であり、神経インパルスの正しい伝導の阻害が身体の機能障害や病気を誘発するという考えで す。こうして、筋肉・骨格系の構造的トラブルが、神経系への影響による身体の不調和をもたらすというカイロプラクティックの考え方は、基礎医学の裏付けの もとに、新たな視点の生命観を生み出したのです。

時代は、今や大きな転換期を迎え、唯物主義者的な現代科学のパラダイム(思考の枠組み) を乗り越えようとする新たな動きが台頭してきました。ニュー・サイエンスという潮流です。現代科学の枠組からは、生命の一側面しか見えてこない。そこで、 角度を変えて、生命の姿を見つめ、そこから人間の潜在的可能性を探る、別な側面の科学なのです。

そういった柔軟な姿勢で、生きた人間を見据えた時に、カイロプラクティックの伝統的な生命観である「イネイト」の存在 も、将来白日のもとに明かされる時が来るに違いありません。こうした新たな「生命思考」によって、「生体エネルギー」というカイロプラクティックのダイナ ミックな生命観が証明されることを期待したいものです。
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by m_chiro | 2010-04-08 21:46 | カイロプラクティック | Trackback | Comments(0)
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