冠動脈疾患・ステント手術後の腰下肢痛患者
先月、中高年の主婦が左胸背部の重苦しさを訴えて来院した。
内科循環器科を受診したところ、心電図にも問題がないので表面筋の問題だと指摘されたらしい。
この婦人はアスレチックジムでの運動を習慣づけているようであるが、上半身は使わずに自転車漕ぎ運動だけにしてみたが、やはり胸が苦しくなるので今は休んでいるのだと言う。
症状の軽減や消失する肢位や動きも見られず、重苦しい症状は一定している。
頸部や体幹、肩関節の可動域にもさしたる問題が見られないが、左小胸筋部には圧痛があり、その付着肋骨の可動は制限されている。
それをリリースしても症状に変化はない。
循環器科の診断が骨格筋の問題だとしたわけであるが、どうも気にかかる。
結局、変化が見られなければ循環器専門医にセカンド・オピニオンを求めるようにアドバイスした。

それから1カ月も過ぎた頃に、ご本人から電話があった。
簡略経過を述べると、治療後も現状維持のまま1週間が過ぎた頃の夜に強い痛みが出て救急指定の病院にかけつけた。そこで心筋梗塞と診断され、そのまま入院となったらしい。
精査の結果では冠動脈の狭窄ということになり、バルーンで開放してステント入れる手術を行ったようである。患者さんも、狭窄部が右か左かは定かではない。
大事に至らなくてよかったものの、筋骨格系の問題とされて、寛解症状も変化もない症状は侮れない。

2週間ほどで退院したのであるが、その間は両下肢を動かさないようにと、重しを乗せられていた。
その影響なのか、右の腎臓部周辺の痛みと鼡径部から大腿内側、下腿内側後面へと痛みが出るようになったのだと言う。
病院では湿布薬が処方された。筋肉痛とでも見立てられたのだろう。

みると、歩行で痛みが強くなる。臥位でも座位でも苦しい。
寛解因子はないかを尋ねると、正座から左へ足を崩して(横座り姿勢)、テーブルに右肘をついてもたれる姿勢でいると痛みが消える、と言う。
こうして寛解因子が見つかると、治療の大きなヒントになる。

理学検査と触診で、緊張性頚反射(屈曲障害)および蝶形骨-後頭骨間関節の頭蓋底障害(右外側方ストレイン)を顕著に感知する。
ステント入れる治療中、側臥位で頭部と上部頸椎に緊張を強いられた影響だろうか?

屈曲障害と頭蓋底の右外側方ストレインをリリースして、腰下肢の痛みを確認してもらうとVAS10が2になった。
膝窩部に少し重たい感じが残る程度である。更に、身体の最深部にある膜系の硬膜管リリースを仙骨-尾骨部で行ったところ、ほぼ痛みは消失した。

最深部の硬膜系のテンションが身体機能に与える影響を思った症例だった。
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by m_chiro | 2010-03-30 22:43 | 症例 | Trackback | Comments(0)
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