緊張性頚反射/伸展障害の症例
中年の婦人が右目に霞がかかったように見えにくくなり、眼科を受診したところ眼瞼の膜の異常だったらしい。それで下眼瞼を手術した。手術は20分ほどで終わった。

ところが、4日経った夜のことである。就寝中に気分が悪くなり、トイレに立とうとして起きあがったところ、目の前が真っ暗になり、めまい感がして落下した。尻もちをついた。気分が悪く、胃がムカムカしたので、そのまましばらく横になっていたら、落ち着いてきた。

そのことを眼科で話したら、眼とは関係ないとのことだった。それ以来、首から肩にかけてとても苦しい、時に動揺感がある、と言って来院した。

脳卒中などの重篤な問題を除外するために、徒手療法でも欠かせない聞き取りと検査がある。起立の障害、歩行障害、複視、言語の流暢さ、手足の運動障害、顔面筋の運動障害、痺れ感などである。これらはハイテク機器を用いなくても、徒手療法のベッドサイドで簡便に出来る調査である。それだけでも、先ずは重篤な脳血管障害をほぼ除外できる。
この婦人も、重篤な病態を除外してもよさそうである。

筋機能の活動をみると、αモーターニューロンの収縮伝導の情報が混乱している。
だから、主な筋の収縮が十分でない。
舌運動でも一側性の方向で筋の抑制が起こる。眼球運動でも左側方運動で、筋の抑制が起こる。呼吸でも同様である。

こうした諸々の筋活動に見られる抑制反射は、頭部と股関節の伸展位で解除される。
これは緊張性の頚反射の伸展障害である。
上部頸椎には短い筋肉が多く、固有受容器も多くあり、全身的な運動機能系の統合に働いている。だから、よくこういうことが起きやすい。

伸展障害をリリースすると、抑制されていた筋収縮の立ち上がりが解消された。
まだ呼吸の呼気による抑制が見られる。これは第一次呼吸システムのトラブルと思われる。脊髄硬膜系のテンションの問題である。「後頭骨/第一頸椎」と関連する「仙骨」相互の運動機能リズムを整える手法を用いてリリースした。

治療を終えて、座位にして首から肩の状態を確認してもらったところ、「肩の乗っかっていた重しが取れた」ようになった。動揺感もみられない。

おそらく眼瞼の手術中に、上部頸椎を緊張させたために起こった緊張性の頚反射による症状だろうと推察してみた。
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by m_chiro | 2010-03-15 18:51 | 症例 | Trackback | Comments(0)
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