MPSを思わせる下肢痛と痺れ、間欠性跛行、冷感、湿疹の症状
60代男性が右殿部から下肢にかけての痛みと痺れ、間欠性跛行に冷感を訴えて来院した。

今年の正月過ぎから、思い当たる原因もなく上記の症状に悩まされ、50メートルも歩くと痛みと痺れで歩けなくなった。
その頃から、原因不明の湿疹が広範囲に両下肢にできた。

高血圧、不整脈、骨粗鬆症の既往で内科外科医院に通院中で、併せて上記の症状についても診察を受けていた。
湿疹は痒みもなくアレルギー検査でも陰性だった。医師も原因が分からなと言う。
下肢症状については説明もなく、血行を改善する薬を処方されている。
もう2カ月近く経過しているのに改善の兆しもない。

触診すると、左右の下肢の温度差が歴然としている。
しかし、大腿動脈、膝窩動脈、足背動脈、後脛骨動脈の拍動も触知できる。浮腫や皮膚色の変化もない。ただ、冷感だけは左右差が明らかなので、動脈の機能不全を除外できないだろう。

下図のように強い圧痛があり、ジャンプ兆候のあるTPもみられた。痺れ感は圧痛部位に沿って下肢是全体に及んでいるが、指先の痺れは親指だけである。
c0113928_2329875.jpg
私はTPの検査に軽微なパーカッション・バイブレーターを用いている。
これはオステオパシーのDR.フルフォードが紹介した器具である。

膜系に沿って滑らせるとTPの存在する部位で強い痛みを訴えるので、問題の個所を患者さんと共有することができる。
活性TPによく反応してくれるので、私はTPの検出器として簡便に使っている。

治療後のTP過敏が減少するにつれて、歩行の距離も伸びてきた。
2回目の来院時には100メートルほど歩けるようになり、3回目の来院時にはそれが200メートルに延びた。4回目には犬の散歩が出来るようになり、ほぼ30分前後を痛みなく歩いている、と言う。

不思議なことに、原因不明とされた湿疹もほぼ消えてきたそうだ(写真を撮って置くべきだった!)。
筋膜のバリアはいろいろな問題を生み出すのだろうか。

冷感と痺れ感は半減したものの残されている。
それも患肢を上にして側臥位になり、中殿筋を伸張するように患肢を伸展させる体勢になると痺れ感が消失するようになった。
中殿筋・小殿筋部の障害を更にリリースする必要がありそうである。
この痺れ感もMPSなのだろう。

それでも動脈の機能不全を除外するために、血管外科に紹介した。
結果は問題なしで、むしろ患肢の方の血流が良いのだそうである。

冷感や痺れ感の認知機序はなかなかややこしそうだ。
[PR]
by m_chiro | 2010-03-03 23:44 | 症例 | Trackback | Comments(2)
トラックバックURL : http://mchiro.exblog.jp/tb/13865869
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by アダピー・タケウマ at 2010-03-19 10:46 x
手や足の末梢部の痛みやしびれ・むくみなどは、血流障害に伴うものが多いように思います。筋緊張を和らげることに加え、血管外来などを受診を勧めたほうがよいかなと思う症例は時々あります。
Commented by m_chiro at 2010-03-19 18:01
この患者さん、中小殿筋にストレッチがかかるような肢位に置くと痺れが消えるのです。やはり訳あり筋に原因がありそうです。
今では痺れ感もだいぶ薄れて普通の生活に戻ったものの、完全な消失には至っていません。臀部の深部の筋のリリースは、なかなか手ごわいように感じます。
<< 庄内ひな街道(2月下旬~4月上旬) 痛みの歴史① アイスマンと痛みの痕跡 >>



守屋カイロプラクティック・オフィスのブログです
外部リンク
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
最新のコメント
最新のトラックバック
ほとんどがMPSなんだけ..
from 心療整形外科
月経が再開した
from 心療整形外科
TPは痛みの現場ですらな..
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
脊椎麻酔後頭痛について
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
起立性頭痛
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
「5%の中に本当の椎間板..
from 心療整形外科
髄液循環系と揺らしメモ
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
医師はユニコーン(架空の..
from 心療整形外科
末梢神経の周膜と上膜にも..
from 反証的、鍼灸・手技・心理臨床
また勉強になりました。
from 漢のブログ
ライフログ
検索