「何もわからないことは、すばらしい出発点だ。願わくば、到達点でもあってほしい」
田舎町の書店は、漫画本、雑誌、文庫本が広いスペースをほとんど占拠している。
仕方なくアマゾンで注文するハメになるのだが、届いた本が予想したクオリティと違っていてガッカリすることもある。

先日、久しぶりに町の書店で本を買った。
シャノン・モフェットの「脳科学者たちが読み解く脳のしくみ」である。
著者は救急医療の女性レジデント(研修医)であるが、本の執筆当時はスタンフォード大学医学部の学生だった。

医学部の学生が、いわゆる素人目線で脳の専門医や科学者に取材した内容をまとめた処女作で、脳の誕生から死に至るまでを追っている。
各章ごとに、胎芽期、胎児期、幼少期、思春期、成人期、幼年期、死とサブタイトルが付いている。
脳にかかわる著名な医師や科学者に体当たり的インタビューをまとめているのだが、単なる脳の解説書的なスタンスでないところがいい。著名な科学者の人となりとその研究領域に食い込んでいる。

著者のそんな素人目線の感性に興味が湧いたのである。
何よりも引き付けられたのは、第1章の扉に書かれた次の言葉だった。

何もわからないことは、すばらしい出発点だ。
      願わくば、到達点でもあってほしい。
                 ノーマン・フィッシャー


ノーマン・フィッシャーという人物は、サンフランシスコ禅センターの住職である。
この本の最終章では、このノーマン・フィッシャーに「こころと身体」というテーマでインタビューしている。
脳の一生について医学生らしい興味でひっぱりながら、最後に心と体について座禅体験をしながら取材している。
脳を通して人間をみようとしている著者の「眼」を感じた本だった。

われわれは真実を知ろうと探求する。あるいは真実を生きようと思う。
だが、求めるものが得られたと思ってみても、結局、何が分かったのだろう? 
そんなジレンマを経験することがある。
ノーマン・フィッシャーの言葉を冒頭に掲げたそんな著者のスタンスに共感した。
真実を求めようとするプロセス、真実を生きようとする努力にこそ意味があるのだろう。
白か、黒か、と一元論的結論を急く必要はない。そんな思いがした。
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by m_chiro | 2010-02-22 22:49 | Books | Trackback | Comments(0)
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