なぜ、根性痛に侵害受容性の治療モデルが有効なのか?
根性痛にも諸説があり、そのメカニズムも未だ十分な解明をみるには至っていないのが現状である。
一般的に合理的な機序とされている説には、神経根あるいは後根神経節(DRG)の機械的圧迫による「異所性発火説」がある。
神経根圧迫が根性痛の根本原因であるとすれば、異所性発火説の他に整合性のある機序は見いだせない。
また、近頃では炎症起因物質による「炎症説」なども散見する。
いずれも、神経因性疼痛とされる難治性の疼痛分類に入る。

しかしながら、カイロプラクティックの臨床の現場でも椎間板ヘルニアによる根性痛とされる病態の患者さんがよく来院する。
徒手療法の臨床報告にも散見するように、これらは徒手治療にも有効に反応する。
私も神経根の圧迫によると診断された下肢痛の患者さんに、徒手療法による効果を経験してきた。
あらためて言うまでもなく、徒手療法が行う治療セオリーは侵害受容性疼痛への対応である。

では、なぜ侵害受容性の痛みに対応する治療モデルが効果をあげるのだろうか。
答えは簡単である。
それは侵害受容性の痛みだからに他ならない。
要するに、神経根が圧迫されて異所性発火をみる神経自体の痛みではなかったからである。

それでも、徒手療法家がみている根性痛は本当の根性痛ではないからだ、と反論されるかもしれない。
あるいは、整形外科医は画像によって症状との一致を確認し、手術によって圧迫性の椎間板ヘルニアを外科的に摘出している、と代替療法との対応の違いを強調するかもしれない。

しかしながら椎間板ヘルニアの摘出手術こそは、まさに究極の侵害受容性の治療モデルに他ならないのである。
侵害受容性の治療モデルが効果的であるということは、その根性痛なるものの病態が侵害受容性疼痛であるからだろう。

なぜなら、それは機械的圧迫部位を摘出しても神経自体の可塑的な変化を解除することにはならないからである。
もしもそれが可能であるのならば、誰も難治性の痛みに悩まされることもないはずである。
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by m_chiro | 2010-01-18 23:49 | 痛み考 | Trackback(1) | Comments(0)
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タイトル : 根性疼痛の不思議
なぜ、根性痛に侵害受容性の治療モデルが有効なのか? m_chiro 先生が、わかりやすく根性疼痛についてブログに記事を書いてくださっているので、自分の復習も含めて思うままに綴ってみたい。 加茂先生もm_chiro 先生も、根性疼痛で起こるとされる下肢痛は異所性発火説をもってしないと、今のところ合理的に説明できないとお考えのようであるが、私も同感である。 確かに手術でヘルニアを取り除いて痛みが嘘のように無くなった人も診てきたし、手術適応と言われた何人もの人を保存療法でなんとかしてきた...... more
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