椎間板は痛むか? 痛まないか?
近年、無痛性椎間板ヘルニアの報告が著名な学術雑誌に掲載されている。
いったい、有痛性と無痛性の椎間板ヘルニアを分けているものは何だろう。
どうも、それは炎症起因物質の量的差だとする説も見受けられる。

椎間板自体が痛みを発する病態は、考えられなくもない。
椎間板には感覚神経が乏しいとされているが、炎症起因物質であるサイトカインが髄核から遊離されるようになると、このサイトカインが椎間板外周に僅かに存在する洞脊椎神経の枝を伸長させるように働くらしい。

下図は「腰背部の痛み」(南江堂、大鳥精司、診察に必要な基礎知識ー解剖と生理、41p、2009)に掲載されたものである。イラストと画像で伸長されている洞脊椎神経をみてとれる。
aは正常な脊椎洞神経の枝、bは伸長された枝、cは伸長した枝の画像である。
c0113928_0262851.jpg

この神経終末の受容器が炎症物質を受け取れば、侵害受容性の痛みを出すことはあり得る話ということになるが、それでもこの痛みは神経が傷害されて発症するものではない。
あくまでも侵害受容性疼痛である。
だから脊椎洞神経が、例えば下肢などに痛みを起こすことはない。

それでも健常者に無痛性のヘルニアの報告は多い。
なぜ? と思う。

問題は受容器にありそうだ。受容器はセンサーではない。比較器として働いている。だから「閾」がある。
痛み信号として受け取るか否かは、その閾の値がどのレベルで設定されているかによる、ということになる。
閾が高ければ、多少の炎症筋物質は遮断されてしまう。
低ければ、僅かに遊離された炎症物質も拾い、痛みを引き起こすだろう。

推測するに、脊柱関連の閾は基本的に高く設定されているに違いないと思う。
そうでなければ、高難度の運動などできるはずがないからである。
この閾を設定しているのはどこか? それはよく分かっていない。
全く個人的な自己ニューロンとして設定されているのだろう。
だから、痛みが個人的なものだとされるのはこの閾の差にもよる。

したがって、椎間板が痛む侵害受容性の痛みは起こり得るとも言えるが、基本的にはそう安易に起こるというものでもないのだろう。
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by m_chiro | 2009-12-22 00:32 | 痛み考 | Trackback | Comments(0)
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