20年来の片頭痛
40歳を過ぎたころから片頭痛に悩まされるようになったという初老の婦人が治療にみえた。
左のこめかみの痛みから始まって、今では後頭部から頭頂部まで広がってきた。
頭頂部に至っては熱感を感じると言う。
不眠や肩こりも出て来て、精神的にも不安定だと申告している。

定年になり旅行にも出たいのに老後を楽しむこともできない、とこぼす。
MRIでも問題は指摘されない。結局は片頭痛と緊張型頭痛の混合型だという診断で、神経内科では頭痛薬に加えてデパスを処方されている。それがもう20年以上も続いている。

この患者さんの頭蓋リズムも異様だった。後頭窩周囲の右側には強い緊張があり、右側頭骨が固着したようにリズム運動が感じられない。逆に左の蝶形骨周辺はとても大きく揺らぐような動きを感じる。
頭蓋リズムを整えて圧変動を調節しながら、本来の生体が持つ中心の軸を安定させることに主眼を置いて治療した。

一週間後に2回目の治療にみえて、これまでの辛さが半分ほどになったようだと言う。
2回目は、呼吸運動に関わる幕系をみながら更に頭蓋リズムを整えた。
やはり左側頭骨のリズム運動が感じられない。

また、一週間後に2回目の治療にみえて70%ほど楽になったようだと言い、その1週間後に3回目の治療にみえたときには、薬をストップしているが全然痛みがなかったそうだ。
昨日は4回目の治療で身体機能も頭蓋リズムもとてもいい感じになって、痛みもなく、眠れるようになって快調だと喜んでもらえた。

このまま良好な状態が維持できることを願うのみだが、それにしても20年来続いてきた頭痛がなぜこんなに簡単に解放されたのだろう?

推測できることは、脳からの下行性疼痛抑制系がうまく働いてくれたのではないかということである。
頭蓋リズムの調整が下行性疼痛抑制系にアプローチできるのであれば、徒手療法の痛み治療の一つの有効な手法となるかもしれない。
また、末梢のポリモーダル受容器からの入力も鍵になるだろうし、脳のより高次機能からの心理的な効果が働いたのかもしれない。

いずれにしろ痛みの信号系をどこかで断つことが肝要なのであるが、その背景にある普遍的原理に注目したいものである。
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by m_chiro | 2009-11-21 14:44 | 症例 | Trackback | Comments(0)
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