あまりにも突然に
12月までびっしりヤボ用が入りバタバタしながら暮らしていたが、思わぬ出来事があってブログに向かう気にもなれなかった。
家内の姉が帰らぬ人になったのである。まだ60代だった。
気力が急降下である。
そんな時は上昇機運が起こるまでジタバタしない方がいい、と決め込んだ。
「ブログの更新がされていないし、健康でも害しているのではないだろうか?」と、案じてメールをくれた方もいた。
一度もお目にかかったこともないのに、ブログを通じて旧来の友のように心を寄せてくれる。
有難いことである。そんなメールに背中を押されてブログに向かった。

それにしても、あまりにも突然にやってきた大騒動だった。
女兄弟のいない私にとって、義姉は実の姉のような存在だった。
義姉は、何か困ったことが起こると私どもを頼って相談することが多く、他愛無いことでも電話はしょっちゅうだったから、お互い遠方に離れて住んでいても暮らしぶりは手に取るように見えて、その存在はとても身近だったのである。

その姉がメタボ対策にダイエットを始めたと春先に話していたが、お盆過ぎには食が細くなり、便秘がすると言い出した。
ダイエットで胃が縮んだんじゃないの、と言っておいたが、どうも深刻らしい。

高血圧で定期的に通院しているかかりつけの内科で検査を受けた。
胃カメラ検査で癌が見つかる。
大きな病院に転医し、MRIなどの細部の検査を受けることになり、結局は医師も胃の全摘手術で大丈夫だろう、ということになったのが9月のことである。

手術が9月末で、胃の全摘でうまくいくものと高をくくって向かったところが既に手の施しようもなく、そのまま閉じてしまった。
元気に暮らしていたのに、それほどに状態は深刻だったわけである。
それにしても性急で、質の悪いヤツに捉まってしまったものだ。
担当医は「もう何があってもおかしくない状態」と言う。
家族は自宅養生を選択した。義姉も近年求めた我が家に帰りたがった。

家内がかけつけるのに合わせて10月半ばに退院し、自宅に戻っての養生となった。
それから間もなくして、癌性の痛みとの闘いがはじまった。
私はてっきり鎮痛処置がされているものと思っていたが、往診する医師がモルヒネを使うとの選択に義兄が拒否をしたらしい。
モルヒネの印象が「人間をダメにする薬物」と結びついたようだ。
それからは夜昼となく痛みを訴えるようになってようだ。
背中をさすってあげても痛がるようになって、困った子供たちが電話で対応を尋ねてきた。

なぜかモルヒネの副作用のことばかりがクローズアップされている。
モルヒネは正しく投与されるかぎり、安全で効果的な薬であることがわかっている。
モルヒネ を使ったからといって予後が悪くなるわけでもない。
むしろ、適切に使えば体の状態が改善されて延命効果をもたらすことも多いとされている。
癌性疼痛には、患者の生活の質と精神的安定を保つためにも不可欠の鎮痛治療なのである。

ようやく義兄を説得してモルヒネ鎮痛をお願いすることになった。
貼付剤が使われ、鎮痛できない場合は坐薬と併用することになった。
それからの義姉は痛みを訴えることもなくよく眠るようになり、最後は眠るように息を引き取った。
普段は化粧をしない人だったが、お嫁さんが綺麗にしてくれて、やすらかな顔で天上の人となった。

家内が姉に手向けた句を詠んだ。

紅をさし 菊纏う姉 風になり
旅立ちし 姉の枕辺 柿ひとつ
枯蓮や 逝く人のいて 生を知る


おっちょこちょいでお人好し、情が深く世話好きで、いつもやさしく明るい義姉だった。
今でも笑い声が耳元でこだまするようである。
「元気になって、また必ず酒田に行くから。頑張るから」、と電話で話してくれた言葉が、私には最後の会話になってしまった。
大事なやさしい義姉を失った。「愛別離苦」が世の常ではあるが、でもやはり寂しい。
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by m_chiro | 2009-11-18 10:40 | 雑記 | Trackback | Comments(0)
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