股関節周辺部の急性痛に著効を奏した遠隔法の症例
60歳の男性が跛行しながら治療にみえた。
歩行で右下肢に負荷がかかると、鼡径部、大転子後方から大腿後面、中殿筋部にまで痛みが出る。
なんでも一昨日の夜、就寝中に痛みを感じたらしい。寝返りしても痛むので冷湿布を貼って寝たと言う。
朝になったら治るだろうと思っていたが、朝は歩けないくらい痛んだ。
常備薬の鎮痛剤を服用して、その日はでゆっくり休養していた。

ところが3日目の朝になっても痛みは引かない、と困った様子である。
特に思い当たることもない。が、強いて言えば「3日前の作業中に、1メートルほどの垣根を跨いで越えたことがあった。ちょうど右脚をハードル競技のように右脚を大きく広げて跨いだことぐらいしか思い当たらない。でも、その後は特に変わったこともなく過ごしたので、それが原因となったかは分らない」と言う。
夜中に、突然痛んだことになる。

右股関節の屈曲/伸展、外転/内転、すべての自動運動で痛みを訴える。
痛みで動きを止めるが可動制限ではない。
しかも動きの途中から痛みを訴えている。
こうした動きの途中で痛むケースでは、患部に直接アプローチするのは賢明ではないように思う。
しかも傷害されたような思い当たる原因もない。
こうしたケースでは遠隔で対応した方が結果も良いように印象的に思う。

何はともあれ、ものは試である。
屈曲/伸展の動きで痛む部位は、鼡径部の中1/2である。
外転の動きでは大転子の後方に、内転の動きでは鼡径部内側端に痛みを訴える
筋経法から中足骨部の圧痛を求めると、太衝(LR3)と衝陽(ST42)、足臨泣(GB41)に強い圧痛がある。
その圧痛処置を行って、再び自動運動を行わせると、屈曲/伸展運動が最終可動域まで動かせるようになった。

ところが外転/運動での動きでまだ痛みが残る。
今度は対角法で右上肢に対応する圧痛を求めると、心経には反応点がなく、肺経・孔最(LC6)にみられた。
これで再び外転/内転の動きを行わせると、内転は可能になった。が、外転は最大可動域で大転子後方に痛みが残った。
陰陽交叉で心包経に反応点を求めると、前腕中間部と手首の2箇所の圧痛がある。
強い圧痛を訴える郄門らしきポイントでは変化がなく、大陵(PC7)のポイントで外転が可能になった。

印を付けたポイントにバイオを貼らせて、歩行を行わせてみると正常歩行ができる。
指示しないのに、自分でしゃがんだり立ったりしている。
「大丈夫だ」。

絵に描いたような遠隔法による著効例だった。
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by m_chiro | 2009-09-08 19:19 | 症例 | Trackback | Comments(2)
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Commented by sansetu at 2009-09-11 10:02
よかったですね。
私も鼡径部の場合、経絡が交差していますので、経絡走行にこだわらず上行している経絡の関連部位をすべて簡易テストする前提でやっております。実際はまあ当たりをつけるのですが、当たらない時は地道に探します。
Commented by m_chiro at 2009-09-11 17:21 x
sansetu先生、御教示いただいていることに学びながら、考えたり、追試したりしております。
まだまだ試行錯誤ではありますが、ヒトの機能系の巧妙さを実感させられています。
また、報告します。
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